(ブルームバーグ):創薬に人工知能(AI)を活用するインシリコ・メディシン・ケイマン・トップコが30日、香港株式市場に上場し、株価が大きく上昇している。米国と中国を中心とし、カナダや中東にも事業基盤を持つ同社は2億9300万米ドル(約460億円)規模の新規株式公開(IPO)を実施した。
インシリコ株は寄り付きで45%余り上昇。IPO価格は1株24.05香港ドル(約483円)だった。
今回の上場は、生成AI分野のスタートアップに対する投資家需要の急増と、香港のヘルスケア株全体の上昇局面の中で実現した。ハンセンバイオテク指数は年初来で67%上昇し、ハンセン指数の上昇率28%を上回っている。

インシリコ社内で最も開発が進んでいる治験薬候補は、不治とされる肺疾患を対象としており、中期段階の試験で有望な結果を示した。
製薬業界は研究開発の期間やコストを大幅に削減できるとして、AIの可能性を長年にわたり受け入れてきたが、進展は緩やかだった。ただ、インシリコに加え、AIで選定した乾癬(かんせん)治療薬が重要な後期段階の試験を最近通過した武田薬品工業などの動きが、業界全体の楽観論を押し上げている。
インシリコは2014年に設立された。25年に入り、バリュー・パートナーズ・グループが主導した資金調達ラウンドで1億1000万米ドルを確保した。他の出資者には、ウォーバーグ・ピンカスやオービメッド・アドバイザーズ、イーライリリーのベンチャー部門が含まれる。
原題:Insilico Advances in Hong Kong Debut After $293 Million IPO(抜粋)
--取材協力:Dave Sebastian.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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