(ブルームバーグ):29日の米株式相場は下落。年末を控え、大型ハイテク株のポジションが一部手じまわれた。
テスラやエヌビディア、メタ・プラットフォームズに売りが出た。ハイテク株の比重が高いナスダック100指数は0.5%下落した。
チャールズ・シュワブのトレーディング&デリバティブ戦略責任者、ジョー・マッツォーラ氏は株式相場の軟調について「ハイテク主導で上げた先週から反転した」と指摘。しかしながら「ファンダメンタルな要因は一切関係していないようだ」と述べた。

S&P500種は年初から約17%上昇。多くの諸外国指数より低い成績となったが、関税にあおられた売り浴びせの予想は外れた。
ブルームバーグのマーケットライブでマクロストラテジストを務めるセバスチャン・ボイド氏は「ドルとS&P500種株価指数は今年、とりわけ好調な展開になると予想されていたが、現実は少し違った。4月に発表された関税による混乱と方針撤回で、米国の政策に対する信頼感が一時的に低下した。ベンチマークの指数は良好な一年となったが、他国の指数を明確に上回るには至らず、それはハイテク株にも当てはまる」と述べた。
3年連続した米国株上昇は2026年も続くと、楽観的なコンセンサスは根強さを増している。AIバブル破裂の可能性から予期せぬ政策ショックに至るまで数々のリスクがあるにもかかわらず、セルサイドのストラテジストは来年のS&P500種上昇を平均9%と予想している。
グレンミードの投資戦略・調査責任者のジェイソン・プライド氏と、投資戦略部門副社長のマイケル・レイノルズ氏は「市場の関心は来年にシフトしており、米経済成長の見通しは明るいようだ」と述べた。「関税政策や財政投入による景気刺激、労働市場の変化、人工知能(AI)関連の生産性、そして規制緩和の可能性による影響が重なり、2026年はトレンドを上回る成長が見込める」と分析した。
個別企業のニュースでは、データセンターなどの資産に資金を投じるプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社デジタルブリッジ・グループが一時10%上昇。同社をソフトバンクグループが買収することで合意した。債務を含めた評価額は40億ドル(約6250億円)となる。
米国債
米国債相場は今年の最終週を小幅高で始めた。上昇幅は休日から明けた欧州より小幅となった。
利回りは引けにかけてこの日の低水準からやや戻した。10年債利回りは一時4.10%まで下げ、今月18日以来の低水準となった。
31日は短縮取引となる。月末特有のインデックスリバランスに関連した買いが入るとみられている。
米経済の底堅さを示す兆候を背景に、米国債相場は月間ベースで小幅安の見通し。それでも年間では2020年以来の好調で一年を終える勢いだ。労働市場の軟化に対応し、連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を今年3回引き下げた。
ナティクシス・コーポレート&インベストメントバンキングの米金利戦略責任者、ジョン・ブリッグス氏は米国債のボラティリティー(変動性)低下傾向について、相場を大きく動かし得る「いわく付きのデータが本当に見られなくなった」と話す。ボラティリティーはこの時期、「非常に低く」なりがちだと指摘した。
同氏によれば、新年が明けるまでこの傾向は続く見通しで、「1月はサプライズの月になる、あるいは広く共有されたコンセンサスが試されることもある」と述べた。
外為
外国為替市場の円は主要10通貨の中で最も堅調となった。日本銀行が公表した「主な意見」を消化するにつれ、利上げ継続の予測が広がった。ドルは薄商いの中、方向感の定まらない取引。手がかり材料に乏しく、月末のフローが価格を左右。ヘッジファンドは様子見を決め込んでいるもよう。
ドルは対円で一時0.4%下げ、155円92銭を付けた後は、下げ幅を縮小。1カ月物リスクリバーサルは一時、6週間ぶりのドル弱気水準付近となった。
日銀が政策金利の引き上げを決めた18、19日の金融政策決定会合では、低い実質金利などを背景に、政策委員から先行きも利上げ継続が必要との意見が相次いでいたことが分かった。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数はほぼ変わらず。先週は週間ベースで0.8%下げ、6月以来の大幅安となっていた。
年末の金融市場はたいていの場合静かで、投資家の多くは休暇に入り、新たなリスクを抱えようとするトレーダーは少ない。ただ30日に公表されるFOMC議事要旨で、政策決定に関する新たな手がかりが出てくる可能性はある。
キャピタル・ドット・コムのシニアアナリスト、カイル・ロッダ氏は「FOMCの議事要旨は利下げ期待を試す内容になるかもしれない」と語る。「しかしながら金利関連のボラティリティーを有意に左右するような、新たな情報が大量に出てくるとは考えにくい」と述べた。

原油
ニューヨーク原油先物は反発。米国が主導するウクライナ和平協議で事態打開に至らなかったほか、中国が来年の成長支援を表明したことが追い風となった。
ウクライナのゼレンスキー大統領と週末に会談したトランプ大統領はこの日、ロシアのプーチン大統領と再び電話会談を実施。その際、プーチン氏の邸宅の一つが攻撃されたとの主張を聞き、「非常に怒っている」と記者団に述べた。一方、ゼレンスキー氏はロシア側の主張を「新たな虚偽」だとして否定。ロシアはこれを口実にキーウの政府本部を攻撃するのだろうと警告した。和平協議が進展すれば、ロシア産原油に対する制裁が緩和され、市場の供給過剰懸念が強まる恐れがあった。
さらに中国財政省は28日、年末の全国財政工作会議に関する発表資料で、より積極的な財政政策を実施する方針を改めて表明。成長押し上げに向けた政府支援を示唆した。
一方、トランプ氏とイスラエルのネタニヤフ首相はこの日の首脳会談で、イランの核問題を巡り同国を再攻撃する可能性について協議するとみられている。トランプ氏はまた、ベネズエラ国内の「大規模施設」を米軍が攻撃したと述べた。
原油は12月も月間ベースで下落する見通し。そうなれば5カ月連続安となり、およそ2年ぶりの長期下落局面となる。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスの増産に伴う供給過剰懸念が重しとなる一方、ベネズエラからナイジェリアに至る地政学的緊張が足元で価格を下支えしている。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は、前営業日比1.34ドル(2.4%)高の1バレル=58.08で終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は1.30ドル(2.1%)上げ、61.94ドルで引けた。

金
金スポット価格は銀とともに大幅下落。足元の大幅な値上がりを受けて利益確定の売りが優勢となった。年末で市場の流動性が低く、値動きが増幅されている面もある。
金スポット価格は一時5%下落し、10月21日以来の大幅安となった。金が1日にこれほど大幅な下げを記録したのは今年2度目。同日のアジア時間に84ドルと最高値を付けていた銀も一時11%急落し、2020年9月以来の下げとなった。年末の休暇シーズンに入り金・銀はともに最高値を更新しており、記録的な値上がりが過度に急ピッチであったことを示唆した。

ソシエテ・ジェネラルの債券・為替(FIC)・商品調査部門責任者を務めるマイケル・ヘイ氏は「大幅な値動きを深読みすべきではない」と指摘する。年末は例年「流動性が極端に低くなりがちだ」という。
この日の下落は、金と銀いずれも季節的な力強い上昇が続いた後の利益確定の売りが主因だと同氏は指摘。貴金属は歴史的に、年末から新年にかけて大きく値上がりする傾向があり、過去10年において金は同期間に約4%、銀は通常7%近くいずれも上昇してきたと同氏は語った。
テクニカル指標も金の売りを促した。14日間の相対力指数(RSI)は過去2週間にわたり買われ過ぎの水準にあり、金が調整に入る兆しを示していた。
銀の状況はさらに劇的だ。12月中旬以降で25%超上昇し、RSIは70を大きく上回る水準が続いている。70を超えると短期間に過度な買いが入ったことを示す。
一部の取引所はリスク抑制に動いている。CMEグループはニューヨーク商品取引所(COMEX)の銀先物の一部契約について、29日から証拠金を引き上げると発表した。市場関係者からはこれについて、投機の抑制につながるとの指摘が出ている。
証拠金の要件が引き上げられると、トレーダーはポジションを維持するため、より多くの現金を差し入れる必要がある。追加資金を用意できない投機筋は、取引規模を縮小するか、ポジションの手じまいを余儀なくされる。

金スポット相場はニューヨーク時間午後2時48分現在、前営業日比200.70ドル(4.4%)下落し、1オンス=4332.51ドル。COMEXの金先物2月限は209.10ドル(4.6%)安の4343.60ドルで終えた。
原題:Tech Selloff Weighs on US Stocks as Silver Plunges: Markets Wrap(抜粋)
原題:Treasuries Advance With European Bonds Amid Volatility Slump(抜粋)
原題:Treasuries Volatility Set for Biggest Annual Drop Since 2009 (1)(抜粋)
原題:Dollar Steadies in Thin Trading, Yen Leads Gains: Inside G-10(抜粋)
原題:Oil Pushes Higher With Ukraine Talks and China’s Pledge in Focus(抜粋)
原題:Gold, Silver Plunge as Traders Book Profit From Record Rallies(抜粋)
--取材協力:Julien Ponthus、Subrat Patnaik、Shikhar Balwani、Isabelle Lee、Rheaa Rao.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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