(ブルームバーグ):ラスベガスで来年1月6-9日に開催されるテクノロジー見本市「CES」では、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、サムスン電子、レノボグループなど主要テクノロジー企業が、人工知能(AI)の有用性を訴えることになりそうだ。彼らが狙うのは投資家や法人顧客だが、AI搭載ガジェットの価値をまだ完全には理解していない一般消費者層も、同等に重要となる。

CESでは、多くのテクノロジー企業がその年の製品を発表する。すぐに購入可能な製品と、最終的に市場に出るかどうかわからないコンセプトデバイスや未完成のものも混在している。エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、AI基盤技術を盛り上げるカリスマ的ショーマンとなるだろう。
一方で、AIを「あれば便利」な付加機能ではなく、主要な売りとするガジェットに対する消費者の需要を試す人々も集まってくる。
スマートグラス
今年の展示会場では、AI搭載ハードウェアが特に目立つようだ。メタ・プラットフォームズが普及させたスマートグラスや、スナップとアップルが2026年末までに発売を計画している製品も登場する。メタとスナップはCESに出展するが、この分野のニュースの大半はXreal、Vuzixといった中小ブランドが発信する見込みだ。

メタは内蔵スクリーンを備えた初のスマートグラスを発表したばかりで、新ハードウェアを公開する予定は今のところない。新機能や改良されたソフトウェアを披露する可能性はある。
スナップも同様で、近々発売予定のスマートグラス「Specs」の価格や発売時期がこの場で発表される可能性は低い。これまで主に選ばれたメディア関係者にしか公開されてこなかったスペックスが、今回初めて来場者向けに展示される予定だ。
どこでもロボット
CESでは多くの企業が、AI搭載ヒューマノイドロボットに対する消費者の受容度を試そうとしている。実際、参加企業が非常に多いため、CESを主催する全米民生技術協会(CTA)は、ロボット技術専用の展示ホールをまるごと一つ設けた。一部は家庭向けだが、展示されるモデルの多くは製造業、物流、外食産業などの企業用途向けに設計されている。バリスタロボットのアートリー・コーヒーやロボットを使ったスマートストアのベンハブ・グローバルといった企業が、AIロボットカフェやコンビニエンスストア向けの技術を披露する。
カリフォルニアのスタートアップ、トムボットが開発したロボット犬ジェニーのような、コンパニオンロボットも多く登場しそうだ。同社は、高齢者と認知症患者のための製品開発に注力している。
多くのヒューマノイドメーカーは今、単一タスクのデモンストレーションから、洗濯物の仕分けとたたみのような、より複雑な多段階の動作へと移行している。LGなど大手企業は自社コンセプトのヒューマノイドを公開する見込みだが、バッテリー寿命、移動性、コスト、安全性の課題が残る中、こうした機械が商業的に実現可能だと来場者を納得させる必要がある。
テレビ、スマートフォン
他のあらゆるカテゴリーの中でも、テレビは伝統的にCESの中心的存在だ。サムスン、LG、台頭する中国のTCLやハイセンスが、新年らしく、明るく巨大なモデルを披露する。かつて展示会場の要だったソニーグループは近年、テレビ製品の発表を春に移し、ブースを縮小している。

高級テレビは既に大多数の消費者にとって十分な明るさと解像度を実現しているため、2026年、メーカーはより広範な色再現性や、さらに鮮やかでリアルな映像を実現するその他の改良に注力するとみられる。サムスンの「ザ・フレーム」シリーズのような美的感覚に優れたモデルは、他社による模倣品が相次いでおり、この傾向はCESでも続くだろう。
CESは通常、スマートフォンの大きなニュースが発表される場ではないが、今年はモトローラが例外となる可能性がある。親会社のレノボが初めて夜の基調講演のメインスピーカーを務める上、モトローラはメディアに送った予告パッケージで、本のような折りたたみ式端末を強く示唆している。
一方、ウエアラブル端末は、基本的なフィットネス追跡を超えた進化で、医療グレードの機器との境界が曖昧になりつつある。今回の展示会では、歯ぎしり防止だけでなく睡眠時無呼吸症候群の発生、心拍数、呼吸、睡眠サイクルのモニターをうたうスマートナイトガードなどの製品が登場する。ウエアラブル全般では、女性の健康管理、持続的血糖モニタリング、高度な心血管追跡、長寿支援、慢性疾患管理への注力がさらに進むと予想される。
原題:Nvidia, Fellow Tech Giants to Test Consumer AI Interest at CES(抜粋)
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