(ブルームバーグ):元日本銀行審議委員の原田泰氏は、日銀に今後の利上げへの慎重な対応を求めた。経済に需要圧力をかけて成長率を高める高圧経済の実現に向け、日本は金融・財政面や税制など政策を総動員する必要があるとの見解も示した。
金融緩和や積極財政を重視するリフレ派として知られる原田氏は23日のインタビューで、日銀の利上げは「急ぐと引き締め過ぎる可能性がある」と指摘。足元の物価高はコメ価格が押し上げている部分があり「供給側の要因」だと説明した。「利上げしても供給側の物価上昇に対する効果は限定的だろう」と語った。
日銀は先週の金融政策決定会合で30年ぶりの高水準となる0.75%への利上げを全員一致で決めた。実質金利は大幅なマイナスが続くとし、今後も経済・物価の見通しが実現していけば、利上げで金融緩和度合いを調整していく方針を維持した。
日銀の利上げや財政悪化懸念などを背景に、長期金利は22日に一時2.1%と1999年2月以来の水準に上昇。為替相場は円安傾向が明確に反転する気配は見られず、日銀の今後の利上げ路線や高市早苗政権の経済政策の行方に注目が集まっている。
原田氏は、景気を刺激も抑制もしない中立金利に一定の距離を置くよう提言する。「自然利子率と予想物価上昇率という推計方法もよく分からないもの同士を足して作る中立金利は、結局よく分からないものだ」と指摘。中立金利にこだわり過ぎると、「日銀は自縄自縛に陥って政策判断が難しくなる恐れがある」という。
一方、高市首相が掲げる「責任ある積極財政」の考え方について、原田氏は賛意を表明。高圧経済の下で人手不足感が強まれば、雇用条件の改善などを通じて日本全体の生産性が上がると強調した。
所得税
インフレ下で賃金が上がった際に、7段階の累進税率となっている所得税の負担が賃金上昇分以上に増えてしまう「ブラケットクリープ」への対応が急務だとも指摘。インフレに合わせて税負担を和らげる仕組みが必要だと訴えた。
予算編成については、高市首相が言うように「必要なものは本予算で対応すべきで、補正予算は規模を縮小して本来の姿に戻すべきだ」と主張する。大型補正予算を編成しても結局使い切れずに余ってしまうことがあるため、「補正の『見せ金』化は是正した方がよい」と話した。
原田氏は、経済企画庁(現内閣府)、大和総研専務理事チーフエコノミスト、早稲田大学政治経済学術院教授などを経て、2015年から20年まで日銀審議委員を務めた。現在は名古屋商科大学ビジネススクール教授。
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