大和証券グループ本社は、企業の合併・買収(M&A)関連収益について、2030年度に700億円としていた従来目標を上方修正して1000億円とする方針を固めた。荻野明彦社長がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。

国内外で活発なM&Aの動きを追い風に「700億円という従来目標は早期に達成しそうで、1000億円に引き上げたい」との認識を示した。大和証Gの25年3月期の同収益は589億円で、過去最高を更新して拡大傾向にある。

日本では東京証券取引所が上場企業に対し資本効率や株価を意識した経営を要請し、政府と一体となって収益力や競争力を一段と高めるよう促している。企業側も価値向上を目指し国内企業にとどまらず、海外企業も対象にしたM&Aを活発化させている。大和証Gは得意とする取引金額が5億ドル(約790億円)以下の中堅規模でのM&A助言業務において、グローバルでの地位確立を目指す。

 

荻野氏は足元の関連人材の採用について「徐々に動きが出てきた」として、国内外で採用強化を再開していると説明した。大和証Gは30年度までに、M&A助言業務を担うバンカーを国内外で900人規模に拡大する方針を掲げる。ただ、今年4月の米トランプ大統領による関税政策の発表を受け、世界経済の先行き不透明感が増してM&Aの動きが一時停滞したため、採用を抑制していた。足元では約640人。

大和証券グループの荻野社長(18日・都内)

今年4月にはクロスボーダーM&Aを専門で扱うチームを東京に新設し、10月には人員を4人から6人に拡充した。「見込み案件は着実に積み上がっており、しっかり成果が出せると思う」と述べた。

同社の資料によると、25年4-9月期は5億ドル以下の世界のM&A案件の助言業務において9位だった。荻野氏は、30年度に世界トップ5入りを目指す考えも明らかにした。

今後注力する海外事業については「インド国内の成長を取り込んでいく」と述べた。インドの金融大手アンビット傘下企業への出資を通じて、同国での超富裕層向け事業への参入を決めている。また、台湾有事を巡る高市早苗首相の発言を受けて関係が悪化している中国については「あれだけ大きなマーケットを無視するわけにはいかない」とし、「中国ビジネスをやめる気は全くない」と述べた。

5年連続で賃上げと初任給アップ

優秀な人材の確保に向けて、26年度に5%程度の賃上げを目指す意向も示した。また来春入社の新卒総合職の初任給を30万円から31万円に引き上げる。賃上げ、初任給アップはいずれも5年連続となる。労働組合との交渉を経て正式に決定する。

荻野氏は「物価上昇を上回る賃上げがないと、給料が上がったという実感が湧かない」とし、「経営という視点ではコストかもしれないが、社員への投資と考えて待遇改善はしっかり進めていきたい」と語った。

(7段落目を追加し、海外事業に関する発言を加えます。更新前の記事は3段落目の数字を訂正済みです)

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