セブン&アイ・ホールディングスのスティーブン・デイカス社長は、米国子会社セブン-イレブン・インク(SEI)の新規株式公開(IPO)について、米国コンビニ事業の業績回復が条件になるとの見解を明らかにした。ブルームバーグのインタビューに応じた。

同社は2026年下半期までにIPOを実施する計画で、詳細なスケジュールや規模は未公表だ。デイカス氏は「SEIの業績が良い傾向でなければやる意味がない」と述べ、事業回復を重要視する姿勢を示した。

米国・カナダでセブン-イレブンを運営するSEIは、顧客の中心が中低所得者層とされる。インフレで消費意欲が鈍化し業績は低迷してきた。回復の時期は見通せないとしつつも、コスト削減などの手だてを講じており、IPOの実現が困難になる事態は想定していないと語った。

セブン&アイのデイカス社長 (4月)

セブン&アイは上場後も株式の過半を保有し、連携を維持する。IPOや事業活動などを通じて31年2月期までに約7兆5000億円のキャッシュを得る計画だ。このうち株主還元と成長投資に約40%ずつを配分し、残りを債務返済などに回す。

連携不足が課題

デイカス氏はSEIの業績について「不十分なのは事実」と述べた。25年1-6月期(上半期)の営業利益はドルベースで前年同期比5.5%増だが、販管費削減の効果が大きく、売上高の伸びはマイナスだ。店舗あたりの販管費が競合より高いため、人員採用の抑制や調達コストの削減などに取り組んでいると話す。

5月末の社長就任から半年余り。米国コンビニ事業の課題は連携不足にあったと指摘する。セブン&アイ本部の優先事項がSEIと明確に共有されず、グループ内で独立していたという。デイカス氏は現在、テキサス州のSEI本社に月の半分近く滞在して意思疎通に努めている。

20日にはSEIの最高経営責任者(CEO)を20年以上勤めたジョセフ・マイケル・デピント氏が今年いっぱいで退任することが発表された。世界的な経営幹部の人材会社を起用し、新たなリーダーの選定を進めている。

北米事業の変革に向けては、食品を強化した大型店舗を30年までに1300店増やす。新設・既存の1100店でファストフード併設を進め、高品質な日本のコンビニ食品の知見を生かして差別化につなげる狙いだ。またデイカス氏は、粗利率の高いプライベートブランド(PB)が売上に占める割合は日本の20%超に対し米国は5%程度と低いことから、拡大の余地が大きいと話した。

クシュタール撤退前の水準

ただ、北米事業は完全子会社のまま立て直すべきとの見方もある。この点については改めて、IPOが企業価値向上につながると強調。調達資金を成長投資に回せるほか、セブン&アイ株への好影響も期待できるとした。

SEIは米国シェア1位ながら未出店エリアも多く、店舗拡大の余地は大きい。デイカス氏はデリバリーの強化なども踏まえれば、潜在的な成長の可能性は高いと述べた。

一方、セブン&アイの株価は、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールが7月に買収提案を撤回したことで急落する前の水準に回復した。国内コンビニは既存店売上や客単価が改善しており、デイカス体制が自立的な経営に向けて良い変化を生み出した面もありそうだ。

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