“慣れ不足”が露呈した維新、議員定数削減法案での混乱
自民党と日本維新の会は今年、連立政権を発足させたが、その関係性は高市総理と吉村代表の党首レベルでは良好なものの、党全体としては様々な課題が浮上している。
TBS政治部の与党キャップである川瀬善路記者は「自民党は結党70年の老舗、維新は自分たちでも『ベンチャー』と例えていて家柄が違う。政治を前に進める上で、かみ合わない場面が少なくなかった」と指摘した。

特に顕著だったのが、維新が重視していた「議員定数削減法案」をめぐる国会での動きだ。12月16日の衆院・政治改革特別委員会では、企業・団体献金の審議で維新・浦野議員が委員長から指名されていない中で、突如「動議」を提出するという異例の事態が発生。しかし、この動きに自民党は同調せず、委員会は一時中断するなど混乱した。
川瀬キャップによると「本来であれば、事前に与党内で根回しして対応するものだが、維新はそうではなかった。参考人への感謝の弁の直後、参考人もまだいるのに、委員長から当てられていないのに、マイクが通っていないのに発言するという状況で、まさに『与党慣れ』不足が露呈した場面だった」と説明した。
この一連の出来事について、新田キャップは「立憲を取材していると、あきれ返っている人、げらげら笑う人もいた。立憲は維新が法案採決の動議を仕掛けてくるシミュレーションを何度も重ね、対策を練ってきたのに、実際は維新の不手際に終わったので、『いったいなんなんだ』という声が上がっていた」と現場の反応を伝えた。

この混乱の背景について川瀬キャップは「内密に動議を出す予定だったのに、吉村代表が事前に会見で『今日修正動議出したんじゃないですかね?』と公言してしまったことも一因」と指摘。「与党は政策を実現できるパワーを持っているのに、維新は議員定数削減にこだわりすぎた」と分析した。
結局、この動議は取り下げられ、議員定数削減法案は今国会で審議入りせず、継続審議となった。代わりに党首会談で「来年の通常国会で、国勢調査の結果を踏まえ法案の成立を目指すことで合意」という落としどころを見つけたものの、自民党内からは「このゴタゴタが来年も続くと思うとゾッとする」という声も出ているという。