オランダの年金基金PME(運用資産約700億ドル=約10兆8600億円)は、世界最大の資産運用会社、米ブラックロックとの関係を解消した。同社が気候リスクなどの問題で、基金の最善の利益にかなう行動をしていないと判断した。

金属・技術セクターの勤労者の貯蓄を管理・運用するPMEからの電子メールによると、今回の決定に伴い、総額50億ユーロ(約9120億円)の株式運用委託契約からブラックロックは外れ、スイスのUBSグループとオランダのハーグを拠点とする投資運用会社MNにポートフォリオが移管される。運用額の分担は数カ月以内に決定される見通しだ。

他の資産クラスを含む継続的見直しの一環として、「ブラックロックとの関係解消を決めた」とPMEは説明。マネー・マーケット・ファンド(MMF)運用を含む「高品質なサービス」をブラックロックは長年提供してきたが、「われわれのビジョンに最も合致した」やり方で行動できる企業ともはや見なされないと指摘した。

2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げる資産運用会社の国際的連合「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ(NZAM)」からブラックロックが脱退を決めたことを受け、PMEは今年に入り同社との関係を再検討していると明らかにしていた。

PMEの理事会(運営委員会)議長を務めるアラー・ラグリッシュ氏は「高いリターン」と「持続可能な投資」という基金の二つの目標達成にブラックロックが十分対応していないという判断に至ったと述べた。

同基金の責任投資担当シニアストラテジスト、ダーン・スパールハレン氏は今年5月、ブルームバーグに対し、トランプ米政権が推進する気候変動対策に反対する政策に抵抗できるパートナーと連携を目指すとしていた。

PMEは、JPモルガン・アセット・マネジメントとゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの国際部門にMMFの運用を引き続き委託する。資産額は明らかにしていない。

ブラックロックの広報担当者は、PMEに10年以上にわたり投資サービスを提供できたことに「感謝している」とコメントした。オランダの他の顧客向けに3500億ユーロ余りの資産運用を引き続き行っているという。

ブラックロックはサステナブル投資とトランジション(移行)投資における「グローバルリーダー」を自称し、気候問題を重視する欧州の顧客に対し、その意向に沿ったパフォーマンスを実現する商品・サービスを提供していると主張してきた。

しかし、サステナブル投資に十分な注意を向けていないと不安視する他の資産オーナーからの反発にも同社は直面している。退任するニューヨーク市の会計監査官ブラッド・ランダー氏は、気候変動への対応が「不十分」として、ブラックロックへの資産運用委託をやめるよう同市の三つの年金基金に勧告した。同社はこれらの年金基金向けに423億ドル相当のインデックスファンドを管理・運用している。

今年9月には別のオランダの年金基金PFZW(運用資産約2500億ユーロ)が、ブラックロックとの145億ユーロの株式運用委託契約を打ち切ったことも明らかになった。

原題:BlackRock Loses $5.9 Billion Mandate From Dutch Pension PME (1)(抜粋)

(PMEのコメントを追加して更新します)

--取材協力:Sarah Jacob、Silla Brush.

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