(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループやドイツ銀行など大手銀行は、ドルが来年下落基調に戻ると予測している。米連邦準備制度理事会(FRB)が緩やかな利下げを続けるとみているためだ。
ドルは2025年前半には1970年代初頭以来の大幅安となったが、後半には安定した。
しかしストラテジストは、26年にドルが再び弱含むと見込んでいる。FRBが緩和姿勢を維持する一方、他国は金利を据え置くか利上げに近づくと見込まれる。
金利動向の差が、投資家に米国債を売却して利回りの高い国へ資金を移すことを促すとストラテジストは予想している。
こうした見方から、大手投資銀行の間ではドルが円、ユーロ、ポンドといった主要通貨に対して下落するとの予測が大勢だ。ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想によると、ドル指数は26年末までに約3%下落すると見込まれている。
モルガン・スタンレーのG10為替戦略責任者デービッド・アダムズ氏は「市場が米国のより深い利下げサイクルを織り込む余地は十分にある」と述べた。同社はドルが来年半ばまでに5%下落すると予測している。「ドルには大きな下落余地があるということだ」と同氏は付け加えた。

ドル下落は、今年のように幅広く急激なものにはならず、より穏やかな展開になるとみられている。ドルは今年、主要通貨すべてに対して下落し、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は年初来で約8%と、17年以来で最大の年間下落へ向かっている。
今後の見通しは、米雇用市場の弱含みが続くという前提に依存しており、不確実性がある。それでもストラテジストは、来年に向けた大まかな構図としてドル安方向を見込んでいる。
市場は来年にFRBによる2回の0.25ポイント利下げを織り込んでいる。さらに、トランプ米大統領が次期FRB議長として指名する人物が、ホワイトハウスの圧力に屈してさらなる利下げに動く可能性もある。
一方、欧州中央銀行(ECB)は金利据え置きが続くと見込まれ、日本銀行は小幅な利上げが予想されている。
JPモルガンのグローバルマクロ調査責任者ルイス・オガネス氏(ロンドン在勤)は「ドルに有利なリスクより不利なリスクの方が多いとみている」と述べた。
カマクシャ・トリヴェディ氏率いるゴールドマンのアナリストは、カナダやオーストラリアなど他のG10通貨が強めの経済指標を受けてより楽観的な経済見通しを織り込み始めていると指摘した。アナリストらによれば、ドルは「世界経済が好調なときに下落する傾向」がある。
一方、ドル高を見込む逆張り派もいる。ダニエル・トボン氏が率いるシティグループのチームは年次見通しで「26年にドルのサイクルが回復する可能性は高いとみている」と記した。
米景気が予想以上に強まる可能性は、FRB当局者による2026年見通し引き上げでも裏付けられた。一方で、FRBは来年も0.25ポイント利下げ1回を見込んでいる。
ドイツ銀行の外国為替調査責任者ジョージ・サラベロス氏(ロンドン在勤)と米州の責任者ティム・ベイカー氏(ニューヨーク在勤)は年次見通しで、ドルが「驚くほど底堅い」米経済と米株上昇の恩恵を受けてきたとした上で、ドルは過大評価されており、来年は他地域で成長と株式リターンが伸びる中、主要通貨に対して下落すると予測した。
「予測が的中すれば、この10年にわたる異例に長いドルの強気相場は終わったことが確認されるだろう」と記した。
原題:Deutsche Bank, Goldman See Fed Cuts Rekindling Dollar’s Slide(抜粋)
--取材協力:Selcuk Gokoluk.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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