日本銀行が来週開く金融政策決定会合では、今年1月以来となる約1年ぶりの利上げが決まると全ての日銀ウオッチャーが予想した。6割超がその後の利上げペースを半年に1回程度とみている。

ブルームバーグがエコノミスト50人を対象に5-10日に行った調査によると、18、19日の日銀会合では現在0.5%程度の政策金利を0.75%に引き上げると全員が見込んでいる。植田和男総裁の下で、全回答者が利上げを予想したのは初めて。

市場の関心はその後の利上げペースに移っており、最多の64%が半年に1回程度と回答。次いで1年に1回程度の予想が21%だった。

調査リポート:日銀12月会合は全員が追加利上げを予想

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

複数の関係者によると、内外の経済・物価や市場に大きな変化がない限り、日銀は今月の会合で政策金利を0.75%に引き上げる公算が大きい。その後も利上げ継続姿勢を維持する見通しだという。植田総裁は1日の講演で、今月の会合において「利上げの是非について適切に判断したい」と踏み込んだ。

ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミストは会合の焦点について、「今後の利上げペースと利上げ余地に関する情報」を挙げた。これに関連して、景気を刺激も抑制もしない中立金利の推計値のレンジを修正してくるかも注目だという。

日銀が集計した自然利子率の推計に基づけば、2%の物価安定目標が実現する下での中立金利は1-2.5%に分布している。今会合で日銀が政策金利を0.75%程度に引き上げた場合、レンジの下限に近づくため、先行きの利上げ余地を探る上で市場の関心が高まっている。

日本銀行本店

植田総裁は1日の記者会見で、中立金利と政策金利の間にどのくらい距離があるかは、次回利上げの際に「もう少しはっきりと明示する」と発言。4日の国会では、中立金利のレンジについて、狭める作業がうまくいけば「適宜公表していきたい」と答弁した。

野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストは、中立金利の推計レンジが大きく変わることはないとしつつ、日銀はその解釈方法を変えてくる可能性があるとみる。2%の物価安定目標の達成確度が一段と高まっていることなどから、「レンジ内でより高い水準を模索する意向を示すだろう」との見方を示した。

日銀が今会合で中立金利に関して新たな情報を示すかを聞いたところ、47%が「はい」と回答。「いいえ」は30%だった。具体的な中立金利に関しては中央値が1.5%程度となった。今利上げ局面での最終到達点(ターミナルレート)の中央値は1.25%となり、前回の10月調査の1.0%から上昇した。

日銀が中立金利に向かって利上げを続けられるかは、金融緩和を重視するとみられている高市早苗政権の対応に左右されるとの見方もある。

東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、高市政権の日銀利上げに対する姿勢は「積極的支持ではなく、消極的容認と思われる」という。こうした政治との関係を踏まえ、今月会合における利上げ後の1%への引き上げは2026年秋にずれ込むとみている。

植田総裁が1日の講演で今月利上げの可能性を明確に示唆したことの背景について、エコノミストの81%は円安が主な要因であると回答した。高市政権が利上げを容認する上で、主な理由は円安だとする見方は98%に達した。

複数の関係者によると、高市政権は日銀が今月利上げを行うことを容認する姿勢だ。もっとも、このタイミングでの利上げに慎重な意見もあるという。

高市政権が新設した日本成長戦略会議のメンバーであるクレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストは、「政府と日銀のコミュニケーションはぎくしゃくしている」と指摘する。今月利上げを行うと1月の連続利上げは想定できないため、「円安の勢いが増すリスクを高める」とみている。

長期金利上昇

高市政権は先月、物価高対策などを盛り込んだ21.3兆円規模の経済対策を発表した。エコノミストの71%は規模が「大き過ぎる」と答え、「妥当」は23%だった。

日銀の利上げ観測や高市政権下での財政拡張懸念などを背景に、債券市場では長期金利(新発10年国債利回り)が8日に一時1.97%と2007年以来の水準まで上昇した。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、財政悪化懸念が高まる中での利上げが長期金利の上昇に拍車を掛けることへの日銀の警戒は強いとみる。長期金利が2%を超えて上昇を続ける場合には、「追加利上げにちゅうちょする可能性もある」としている。

(調査リポートのテーブルを追加して更新しました)

--取材協力:氏兼敬子、関根裕之.

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