米メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、日々の業務に自ら関与しながら、同社の軸足を収益化可能な人工知能(AI)モデルに移しつつある。

事情に詳しい関係者によると、コードネーム「Avocado」と呼ばれる新たなAIモデルは来春にも公開される見通しで、「クローズド」モデルとして投入される可能性がある。非公開情報であることを理由に関係者は匿名で語った。

この動きは競合のグーグルやOpenAIが自社モデルで採用している手法と同じであり、メタが長年掲げてきたオープンソース戦略からの大きな転換となる。オープンソースモデルは、外部の開発者や研究者がコードを活用できるのが特徴だ。関係者によれば、メタの最高AI責任者に就任したアレクサンダー・ワン氏がクローズドモデルを支持している。

メタの広報担当はコメントを差し控えた。

メタの戦略は、今年に入ってオープンソースモデル「Llama 4」を公開した後、大きく転換したという。同モデルには、シリコンバレー関係者だけでなくザッカーバーグ氏からも失望の声が上がった。ザッカーバーグ氏は、このプロジェクトに携わっていた一部の関係者を外し、自ら有力なAI研究者や幹部を招へいした。複数年契約で巨額の報酬を提示した例もあり、ワン氏もその1人。現在、ザッカーバーグ氏は「TBDラボ」と呼ばれるグループで、こうした新たに加わった人材と密接に業務を進めることに時間と労力を注いでいる。

関係者によると、TBDグループは「Avocado」の学習プロセスの一環として複数のサードパーティー製モデルを使用。グーグルの「Gemma」やOpenAIの「gpt-oss」、中国アリババグループの「Qwen」など、競合モデルの出力を取り込み、学習に反映しているという。

ザッカーバーグ氏が新モデルの学習に中国の技術を用いることは、同氏の姿勢の変化を示すものだ。今年1月にはジョー・ローガン氏のポッドキャストで、中国製モデルが国家検閲の影響を受ける可能性に懸念を示していた。しかし、Llamaを含む米国勢のオープンソースの取り組みは遅れを取っている。エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは今月、「中国は大きく先行している。特にオープンソースでははるかに先を行っている」と述べていた。

ザッカーバーグ氏はこれまで、特にAIを含む新たなツールや技術を一般に開放することが、メタの製品を強化し、その普及を促すと主張してきた。メタのAIにおけるオープンソース手法については、グーグルのスマートフォン向け基本ソフト(OS)「Android」になぞらえることもある。メタはすでに社内向けに一部のクローズドモデルを構築しており、ザッカーバーグ氏も過去に別のクローズドモデル開発を示唆してきたが、主力AIモデル「Llama」の複数のバージョンはオープンソースとして提供されている。

Photographer: Kent Nishimura/Bloomberg

AIはメタの最優先事項となっており、経営陣の関心と支出の大部分を占めている。ザッカーバーグ氏は今後3年間で6000億ドルを米国のインフラ関連プロジェクトに投じると約束しており、その多くがAI関連だ。事情に詳しい関係者によれば、同氏はメタの投資配分も見直しており、AIグラスなど関連ハードウエアに資金を振り向けるため、仮想現実(VR)やメタバース関連の取り組みを大幅に削減する計画だという。

原題:Inside Meta’s Tilt From Open Source Toward Make-Money AI Model(抜粋)

(第5段落以降を追加します)

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