米エヌビディアの人工知能(AI)用GPU(画像処理半導体)「H200」の対中輸出をトランプ米政権が承認した。ライバルの中国・華為技術(Huawei)が同等の性能のAIシステムを既に提供し、安全保障上のリスクは低いとの判断が背景にあるという。事情に詳しい関係者が明らかにした。

関係者によれば、H200の対中販売を認めるかどうか検討したトランプ政権の当局者らは、考え得る複数のシナリオを想定し、米議会の安全保障タカ派からの反発も考慮に入れた。

中国へのAI半導体チップ輸出を一切認めないという判断から、あらゆる製品の輸出を許可して中国市場を席巻し、Huaweiを圧倒する選択肢に至るまで、検討対象は多岐にわたった。トランプ大統領は結局、H200の対中販売を許可する一方、エヌビディアの最先端半導体チップについては米国の顧客の利用を優先し、輸出を控えるという政策を支持した。

関係者によると、AI半導体チップの顧客が各市場で受け取る製品に関し、米国は中国に対し18カ月の優位を確保し、米国勢の最新製品への独占的アクセスを維持できる。H200を中国市場に押し出すことで、Huaweiなど同国の半導体メーカーの製品ではなく、米国技術のエコシステムを基盤とする中国のAI開発を促すことができるとホワイトハウスの当局者は判断した。

Photographer: Graeme Sloan/Bloomberg

トランプ大統領は、H200の対中輸出を許可すべきかどうか数週間にわたり顧問らと協議を重ね、輸出規制の緩和を求めてきたエヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)とのワシントンでの非公式会談の数日後に決定を公表した。トランプ氏はトゥルース・ソーシャルへ投稿で、H200の販売先は「承認された顧客」に限定され、インテルやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)を含む他の半導体メーカーにも適用されると説明した。

Huaweiの技術的な競争力が、米国側の認識よりはるかにエヌビディアに接近しているという評価も今回の決定を後押しした。関係者によれば、ホワイトハウス当局者は、HuaweiのAI半導体 「Ascend(アセンド)」を使用する同社のAIプラットフォーム「CloudMatrix 384」に注目した。エヌビディアのAI用先端GPU「ブラックウェル」を統合した同社の「NVL72」と同等の性能を発揮することを確認したという。

AIアプリケーションの学習・推論処理の高速化をサポートするハードウエアで、エヌビディア製品の代替として開発されたHuaweiの「Ascend 910C」アクセラレーターについて、2026年に百万単位の量産が可能になると米当局者が結論付けたことも切迫感が増す一因となった。

米商務省の報道官とエヌビディアの広報担当者からコメントは得られていない。ホワイトハウスのデサイ報道官は「トランプ政権は国家安全保障を危険にさらすことなく、米国の技術スタックの優位確保に力を注いでいる」と述べた。

上院銀行委の議員らとの会合に向かうエヌビディアのジェンスン・フアンCEO(ワシントン、12月3日)

原題:Trump’s Reprieve for Nvidia’s H200 Spurred by Huawei’s AI Gains(抜粋)

(Ascend 910Cに関する情報などを追加して更新します)

--取材協力:Ian King、Jennifer A Dlouhy.

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