ドイツの連立与党は、物議を醸していた年金法案について議会の承認を確保し、発足からわずか7カ月で政権崩壊に向かう事態を回避した。

この法案を巡っては、メルツ首相率いる与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の若手議員18人前後が造反の構えを表明。連立与党は議会過半数を12議席上回るに過ぎないため、連立パートナーの社会民主党(SPD)が推進する同法案の可決が危ぶまれていた。

だが、5日行われた採決では定数630のうち318の賛成票が集まり、過半数の316をかろうじて上回った。SPD議員は120人全員が賛成し、CDU・CSUは7人が反対、2人が棄権、1人は無投票だった。

メルツ氏は今後6年間の年金支給の安定化を目的とした今回の法案に関して、「集中的な議論は必要かつ正当」だったとし、高齢化社会に対応するための制度改革において「我が国が直面している課題の大きさを明らかにした」と述べた。

法案の可決は勝利として強調されそうだが、法案を巡る騒動は首相の指導力や統率力にあらためて疑問を投げ掛ける。今後も社会保障支出の全般的な削減など、困難な決定を要する問題が控えている。

SPD共同党首で副首相でもあるクリンクバイル財務相は採決後、法案を巡って公に対立する事態となったことに遺憾を示し、「当然、対立は避けられたはずだが、これも民主主義の一部だ」と述べた。

原題:Merz Averts Crisis With Approval for German Pension Bill (2)(抜粋)

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