Q. 今後のスケジュールは?
A. 12月2日に、首相官邸で関係省庁の副大臣が参加する第1回連絡会議が開催された。まずは各省庁に対し、過去の行政評価などで指摘された事項の総点検を依頼する。
2026年春から具体的な見直し作業に着手し、同年夏の「骨太の方針」に反映させることを目指す。
本格的な成果は2027年度の予算編成・税制改正に反映される見通しだが、2026年度の予算・税制についても可能なものから前倒しで反映させる方針。金額ベースの目標は示されておらず、現行の予算編成作業への混乱を回避する姿勢もみられる。
Q. 効率化の対象となる具体的な事業は?
A. 伊田(2025)によれば、租税特別措置による減収総額は2023年度で9.5兆円となっている。租税特別措置の項目数は2024年1月時点で369ある。
特に、法人税関係の租税特別措置、具体的には研究開発税制や賃上げ促進税制による減収が近年増加しており、減収分の多くを占めている状況だ。
所得税関係の租税特別措置については、住宅ローン減税や申告不要の配当所得などが含まれる。
後者はいわゆる「1億円の壁」問題(所得税が累進税率であるにもかかわらず、実際の税負担率が1億円前後を頂点に低下している現象。金融所得が申告分離の一律税率を選択できることから生じる)にも関連する。
金融所得課税強化については従来から高市首相も言及しており、日本版DOGEの枠組みで制度の見直しが図られるかもしれない。
基金については、2024年度末時点の残高が17.6兆円ある(行政事業レビューの基金シート)。
規模の大きいものを挙げると、グリーンイノベーション基金(24年度末残高2.3兆円)、特定半導体基金(1.6兆円)、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発基金(1.4兆円)が挙げられる。
24年度末時点で残高のある基金の数は185あり、小規模の基金も多い。エネルギーや半導体は高市首相が成長分野として重視しているものでもあり、小規模基金の整理が先行する形となることも予想される。
※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 前田 和馬、星野 卓也