(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループは、サイラスワンが運営する米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループのデータセンターで大規模なシステム障害が発生したことを受け、サイラスワン向けの13億ドル(約2010億円)規模のモーゲージ債発行計画を一時停止した。事情に詳しい関係者が明かした。
匿名を希望する関係者によると、ゴールドマンはサイラスワンにとって過去最大規模となる商業用不動産担保債券の発行を計画しており、11月25日に初期フィードバックを行っていた。だが、その数日後、イリノイ州オーロラ郊外にあるCMEのデータセンター複合施設で冷却システムが故障し、毎日数兆ドル規模のデリバティブ取引が行われる市場が10時間以上停止した。
KKRとグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)が所有するサイラスワンの借り換え取引は、今週価格設定を予定していたが、関係者によると、現在は保留状態にある。取引は来年1-3月期に再開する可能性があるという。
ブルームバーグが入手した文書によると、この債務は、オーロラにある3棟のデータセンターキャンパスを担保としていた。この取引における総賃料のうち、CMEは約14%を占め、同施設では2番目に大きな入居者だ。
ゴールドマン・サックス、GIP、KKRの代表者はコメントを控えた。サイラスワンとCMEの広報担当者はコメント要請に応じなかった。
CMEのシステム障害は、人工知能(AI)データセンターブームに数千億ドルを投じてきた投資家らに、施設の賃貸契約が実際には解除可能だという現実を改めて認識させる警鐘となった。多くの契約には、繰り返し複数回の障害が発生した場合、解約条項が発動される仕組みが組み込まれている。
関係者によると、停止中のサイラスワン向けのモーゲージ債は、5年物債券として組成され、発行額の大部分を占めるAAA格付けの6億690万ドル分のトランシェは、担保付翌日物金利(SOFR)に対して1.9ポイント上乗せした利回りで価格設定される見込みだった。
原題:CyrusOne Halts Bond Sale After Data-Center Failure Cripples CME(抜粋)
--取材協力:Ameya Karve、Isis Almeida、Katherine Doherty.
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