(ブルームバーグ):米自己勘定トレーディング会社ジェーン・ストリート・グループでは人工知能(AI)ブームに賭ける巧みな投資が今年の記録的な業績を押し上げ、トレーディング収入の大幅な増加として表れている。事情に詳しい関係者が明らかにした。
関係者によれば、同社は投資家に対し、未公開企業やファンドへの投資が7-9月(第3四半期)のトレーディング収入を約8億3000万ドル(約1300億円)押し上げたと説明した。大半を占めたのがAIスタートアップの米アンソロピックだったという。アンソロピックは今年、評価額が大きく膨らんだ。
約8億3000万ドルという規模は、7-9月期の純トレーディング収入68億3000万ドルの約12%に相当する。創業25年の同社は今年、過去最高の業績を達成するペースにあり、ウォール街の多くの名だたる競合を上回っている。
多くの銀行のトレーディング部門や一部のマーケットメーカーは、こうした長期投資をトレーディング収入に計上していない。ゴールドマン・サックス・グループには自己勘定で投資する部門が以前存在したが、数年前にトレーディング部門から切り離された。
関係者によると、ジェーン・ストリートは一部の未公開企業やファンドに戦略的な投資を行っており、その持ち分の一部は制限のない子会社を通じて保有されている。こうした投資はトレーディング資本の約7%を占め、アンソロピックは最大級のポジションだという。
関係者によれば、同社は、3月に上場したコアウィーブでも同様の戦略で利益を上げた。ブルームバーグが集計したデータによると、ジェーン・ストリートは現在コアウィーブ株を約2700万株、発行済み株式の約7%相当を保有している。
同社の4-6月(第2四半期)の純トレーディング収入は101億ドルに達し、ウォール街の主要な競合相手を軒並み上回った。7-9月期は前年同期比18%と伸びが鈍化したものの、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスに次ぐ上位につけている。
ジェーン・ストリートの担当者はコメントを控えた。
原題:Jane Street’s Trading Haul Juiced by Surging Bet on Anthropic(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2025 Bloomberg L.P.