ベッセント米財務長官は中国による米国産大豆購入について、合意当初の期限を事実上延長した。ただ、市場では対中輸出の新規契約が見られない状況が続いており、目標達成への懐疑的な見方が根強い。

ベッセント氏は3日、中国は2月末までに米国産大豆1200万トンを購入するという約束を「順調に履行している」と述べた。ホワイトハウスは先月、中国は「2025年の最後の2カ月間に」購入することで合意したと発表していたため、これよりも遅い時期になっている。

期限が延びたことで時間的な猶予は生まれたものの、中国が購入ペースを加速させている兆しはほとんど見られない。米農務省は4日、中国向けの新規輸出契約が4営業日連続で報告されていないと明らかにした。同省のデータによれば、中国が10月30日以降に購入した米国産大豆はわずか225万トンにとどまっている。

4日の大豆先物相場は前日終値をはさんでもみ合い。11月中旬に約1年ぶりの高値をつけた後、下落傾向にある。

ストーンXのリスク管理コンサルタント、マット・キャンベル氏はリポートで「市場が引き続き懐疑的な見方をしているのは当然だ」と指摘した。

中国が米国産大豆の購入を再開したのは最近のことで、きっかけは10月下旬に行われたトランプ米大統領と習近平国家主席の会談だった。それまで中国は、貿易協議での交渉材料を確保するため、米国産の調達を避けていた。

中国政府は1200万トンの購入やその期限について公式には確認していないが、大豆に対する関税の引き下げ措置を講じ、米国の輸出業者3社に対する輸入禁止も解除している。

ベッセント氏は3日、ニューヨーク・タイムズのイベントでのインタビューに応じ、「中国は合意の全項目を順調に履行していると言える」と述べた。年末までの残り時間について問われると、同氏は「シーズンの終わり、つまり2月28日が目標だと考えている」と説明した。米国産大豆のマーケティング年度は9月から翌年8月までとなっている。

この延長された期限は、米国にとって有利なタイミングと言える。通常、中国は3月以降にブラジル産大豆の購入を本格化させる傾向にあり、ブラジルでの収穫は年初に始まるため、それ以前が米国産大豆の売り込みに適した時期となる。

Photographer: Eric Lee/Bloomberg

ただ、米国産大豆は1カ月余りにわたって1ブッシェル=11ドル超で取引されており、南米産に比べて価格競争力に劣っている。

ストーンXのキャンベル氏は「現実には、民間の圧搾業者や輸入業者は依然として割安なブラジル産に照準を合わせており、追加購入には極めて慎重な姿勢を保っている」と述べた。その上で「最近の大口輸出契約の不在が、大豆市場全体の低迷に拍車をかけている」と指摘した。

ただ今シーズンのブラジルでは、異例の降雨で大豆の作付けが一部遅れている。コンサルタント会社アグロコンサルトによると、11月末時点で作付けは85%にとどまり、過去5年平均を下回っている。このため、一部地域では収穫も平年よりやや遅れる可能性があり、2月までに市場に出回るブラジル産大豆の量が減少する恐れがある。

こうした中、トレーダーの間では、中国最大の食品会社、中糧集団 (COFCO)を含む国営輸入業者が今後数週間で米国産大豆の購入を加速させるとの見方が出ている。ただし、その具体的な時期や取引規模は依然として不透明だ。

原題:Bessent Extends China Soy Deadline But Slow Sales Fuel Doubts(抜粋)

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