(ブルームバーグ):香港の金融当局と汚職対策機関は今週、大手証券会社2社とヘッジファンドの運用担当者が関与した3億1500万香港ドル(約64億円)規模のインサイダー取引および汚職スキームに対する捜査の一環として、8人を逮捕した。
証券先物委員会(SFC)と汚職捜査機関の廉政公署(ICAC)は、賄賂と引き換えに極秘情報をやり取りした疑いのある上級幹部らを標的にした共同捜査を行ったと発表した。
家宅捜査を受けた会社は明らかにされていないが、事情に詳しい関係者によると、対象となったのは中信証券の現地子会社および国泰君安国際ホールディングスの香港拠点。
元モルガン・スタンレーのインベストメントバンカー、トニー・チン氏が設立した投資会社インフィニ・キャピタル・マネジメントも一斉摘発の対象となった。捜査は非公開だとして関係者が匿名を条件に語った。
証券会社の幹部らがヘッジファンドの運用マネジャーから400万香港ドル超の賄賂を受け取った疑いを中心に、捜査が進められている。収賄側はその見返りとして、複数の香港上場企業による株式割り当てに関する未公表情報を漏えいしたとされる。
当局によると、ヘッジファンドはこれらの情報を基に空売りポジションを構築し、約3億1500万香港ドルの不正利益を得た疑いがある。10日および11日に企業オフィスや個人の自宅を含む14カ所を捜索し、男性6人、女性2人を拘束した。上級管理職や仲介役も含まれる。
今回の強制捜査はアジアの金融ハブである香港における監督強化を示している。取引量の急増や新規株式公開(IPO)活発化を背景に、案件組成を巡る監視が強まっていた。
国泰君安は12日、10日の捜索で従業員1人が拘束され、一部書類が押収されたと発表した。インフィニはコメントを控えた。中信証券はコメント要請に直ちには応じなかった。13日の香港市場で国泰君安と中信証券の株価は大きく下げている。
今回の捜査は、2017年以来最大規模の家宅捜索となる。当時は反汚職当局と証券規制当局が8カ所を捜索し、「謎のネットワーク」と呼ばれた事件の調査で企業幹部3人を逮捕した。
インフィニは香港のIPO・私募増資市場で存在感を強めている。昨年12月には私募増資案件で追加株式を取得するための期限をかろうじて守り、制裁を免れた。同社はこれまでにセンスタイム・グループやGCLテクノロジー・ホールディングスなどの案件を手がけている。
規制当局はこれに先立ち、上場案件が急増する中で、ずさんなIPO申請を提出しないよう香港の証券会社に警告していた。香港は2025年に世界最大のIPO市場となり、今年は年初として過去最多の新規上場件数で滑り出している。
当局は最近別の法的措置で、インサイダー取引でヘッジファンドのセガンティ・キャピタル・マネジメントを提訴した。反汚職当局は昨年、インサイダー取引に関連する賄賂を受け取ったとし、香港取引所の元職員を起訴した。
国泰君安は、投資銀行部門を含む全体の事業・業務は通常通り運営されていると発表資料で説明した。同社は財務的に健全で、すべての事業活動は秩序立ち、法令順守の下で行われているとしている。
原題:Hong Kong Arrests Hedge Fund, Broker Staff in Insider Probe (1)、Hong Kong Probes Financial Firms With Biggest Raids Since 2017(抜粋)
(当局の発表を追加して更新します)
--取材協力:Kiuyan Wong、Cathy Chan.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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