中国の習近平国家主席は4日、北京を訪問しているフランスのマクロン大統領と会談し、日本を念頭に「両国は歴史の正しい側に断固として立つべきだ」と主張しました。台湾問題でフランスの理解を求めるとともに、日本に圧力をかける狙いがあります。

中国外務省によりますと、習近平国家主席は高市総理の台湾有事をめぐる国会答弁などを念頭に、「両国は歴史の正しい側に断固として立つべきだ」と主張しました。

これに対し、マクロン大統領は「フランスは対中関係を重視し、一つの中国政策を堅持する」と述べ、中国の主張に理解を示したということです。

高市総理の発言に反発を強めている中国は、3日に行われたフランス外相との会談でも、王毅外相が「日本が台湾問題を利用してトラブルを起こし、歴史の過ちを繰り返すことを断じて許さない」と主張し、「中国側の正当な立場を理解し、支持する」よう求めています。

また、首脳会談で、習主席は「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ政権を念頭に、「保護主義は世界の産業構造の問題を解決できず、むしろ、国際貿易の環境を悪化させる」と指摘。

中国とフランスは「多国間主義を掲げ、普遍的な経済のグローバル化を進めるべきだ」と訴えました。

今回のマクロン大統領の訪中には経済界の代表団も同行しています。

習主席は「中国の開放の扉はますます大きく開かれる」と強調。両首脳は「双方向の投資を拡大し、公平なビジネス環境を提供する」ことで一致しており、中国としてはフランスからの投資を呼び込むとともに、経済関係を強化したい考えです。

このほか、和平に向けた協議が大詰めを迎えているウクライナ情勢についても意見交換し、習主席は「中国は引き続き自らの方法で政治的解決に建設的な役割を果たす」姿勢を示しました。

両首脳はあす、四川省成都市を訪問する予定です。習主席が外国の首脳と地方都市を訪問するのは異例で、冷え込む日中関係とは対照的に、4度目の公式訪問となったマクロン大統領への厚遇ぶりが目立っています。