(ブルームバーグ):米国防総省は、海外で米軍や同盟国に対する攻撃に使用されているイラン製ドローンを模倣した攻撃型ドローンを配備する。資金力の乏しい敵対勢力が駆使する低コスト技術の開発で、米国の防衛産業が後れを取っていることを暗に認めた格好だ。
米中央軍は、アリゾナ州に拠点を置くスペクターワークス製の小型軽量ドローンを編成した部隊「タスクフォース・スコーピオン・ストライク(TFSS)」を創設したと発表した。これらドローンは、一方向からの攻撃や偵察、海上攻撃などの任務に使用可能だという。
スペクターワークスは、イランや代理勢力が中東で米軍や船舶への攻撃に使用しているイラン製ドローン「シャヘド136」を解析・模倣してこのシステムを設計した。ロシアもウクライナ各地への攻撃にこのドローンを使用している。
米中央軍司令官のブラッド・クーパー海軍大将は声明で、「熟練した兵士らに最先端のドローンをより迅速に配備することは、米軍の革新性と強さを示すものであり、悪意ある勢力への抑止力となる」と述べた。
今回の措置は、ヘグセス国防長官が進める取り組みの一環で、ウクライナや中東の戦場で使われている低コスト技術の開発での後れを取り戻すことを目的としている。戦略国際問題研究所(CSIS)によると、シャヘドの価格は1機あたり約3万5000ドル(約544万円)。一方、米軍のドローン「MQ-9リーパー」の価格は3000万ドルだ。
シャヘドは必要に迫られて開発された。長年にわたる米国の経済制裁により、イランの経済と防衛産業は疲弊しており、シャヘド136も他国の設計を解析し模倣した部品で構成されている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の防衛担当ベッカ・ワッサー氏は、「米国は1発あたりのコスト削減において後れを取っている」と指摘。「米国はもはや高価で精巧な兵器だけで戦いに勝つことは期待できない。再利用可能な手頃なドローンのような低コストのシステムを導入するか、敗北を受け入れるしかない」と述べた。
原題:US Deploys Cheap Attack Drone Copied From Iranian Technology (1)(抜粋)
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