(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループのマクロトレーダー、ボビー・モラヴィ氏は、新年を迎える株式市場の構図をボクシングの試合に例えた。人工知能(AI)や景気刺激策といった強気材料が、割高な株価や信用リスクなどの弱気材料とにらみ合う構図だ。
S&P500種株価指数が3年連続の2桁上昇に迫る中、モラヴィ氏はハイテク7社「マグニフィセント7」による、約6000億ドル(約93兆1900億円)の設備投資が米国経済に流入すると予測する。モラヴィ氏は、所得税減税や2000ドルの給付金といった、強気筋の見方を後押しする材料がさらに増えると見ている。
同氏は、顧客向けリポートで「量的引き締めが終了する。米国の赤字財政支出が継続している。2026年には1.2兆ドルの自社株買いの承認がある。個人投資家は継続的に資金を投入し、値下がり局面で買い増している。2026年には、銀行規制緩和と資本規制緩和がなされる」と前向きな材料を挙げた。
モラヴィ氏は一方で、弱気な見解にも言及し、株価評価は失望の余地がほとんどない水準まで押し上げられたとしている。市場の広がりは過去20年で最も狭い水準まで悪化し、人工知能(AI)とAI設備投資という一つのテーマに「極端に偏った」状態だ。同氏は「AI循環性」の高まりにも言及し、この分野のブームがレバレッジの拡大によって資金調達される傾向を強めていると警告した。
モラヴィ氏によると、株価指数の上昇という表向きの状況の下では、実態ははるかに不均一だ。同氏は、格差の拡大を示す「K字型経済」への懸念が高まっており、消費者の負担増、低所得世帯の債務不履行率上昇、民間信用のストレス顕在化といった、局所的な問題が生じていると指摘した。労働市場の力学も、押し上げ要因から障害へと転換する可能性があるという。
ウォール街のストラテジストの間では、米国株の上昇が2026年も続くと予測する声が増えている。ドイツ銀行、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、UBSグループ、HSBCホールディングスなどが、堅調な企業収益と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを背景に、2桁のリターンが得られると予測している。
こうした楽観論に対する反論として、一部の投資家の間では、AI関連銘柄への警戒感が見られる。バリュエーションへの懸念や、膨大なコンピューティング能力への投資が利益につながるかどうかが、依然として問題視されている。
過去15年間は前例のない強気相場が続いてきたことから、モラヴィ氏は、持続的な下落や調整局面の経験が、現在のトレーダー層には欠如していると指摘する。同氏は「今日の『プレーヤー』の大半は、一つの市場しか見ていない」と述べ、今の世代のトレーダーは、底値が常に存在すると信じ込んでいると語った。
モラヴィ氏は「一方で、永遠に続くものはない。ただし、この状況は誰もが想定した以上に長く続いており、その間ずっとポジションを維持してきた人々が、大きな報酬を得てきた」と語り、本格的な調整局面が訪れた場合、こうした局面の経験がある人々が、勝者となる可能性が高いとの見方を示した。
原題:Goldman’s Molavi Says Bull and Bear Stock Drivers Set to Clash(抜粋)
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