米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン副議長(銀行監督担当)は、銀行とステーブルコインに関する新たな規則策定に取り組む考えを下院議員に示す予定だ。規制当局としてウォール街とフィンテック、暗号資産(仮想通貨)関連企業の間で健全な競争を確保するのが狙い。

ボウマン氏は2日の下院金融委員会の公聴会向けに用意した証言テキストで、「規制当局として、責任ある形でイノベーションを促進することが私の役割であり、イノベーションが安全性と健全性にもたらすリスクを監督する能力を継続的に高めなければならない」としている。

さらに、新技術は与信アクセスを拡大しつつ、フィンテックやデジタル資産企業との公平な競争条件を確立することで、一層効率的な銀行セクターを生み出す可能性があるとも指摘した。

ボウマン氏は、ステーブルコイン発行体に正式な登録などを義務付ける「ジーニアス法」の要件に沿って、他の規制当局と協力し発行体向けの資本規制や事業多角化に関する規則整備を進める考えも示した。デジタル資産に関する明確化や、新たな利用事例の提案に対する規制面のフィードバックを当局が提供する方針を強調した。

銀行と暗号資産企業の間では、銀行免許へのアクセスを含むデジタル資産規制の将来を巡り対立が続いている。暗号資産企業にとって、銀行免許は一段の正当性を含む多くのメリットをもたらすと考えられる。

しかし、従来型の金融機関は、銀行免許の正当性だけを得ながら、それに伴う責務を負わずに業務を行える企業が出てくることで、競争条件の不公平化や銀行免許制度の空洞化につながりかねないと警告している。

銀行資本

ボウマン氏は証言テキストで、いわゆる「バーゼルIII最終化」を含め、複数の銀行資本規制の最終化の取り組みを進めていることにも言及。資本要件に関する自身のアプローチは「ボトムアップで新たな枠組みの調整を進める」ものだとしている。

このほか、一段と広範な資本枠組みの見直しと合わせ、大手銀行に対する資本サーチャージの調整にも取り組んでいるとボウマン氏は説明している。

ブルームバーグ・ニュースは先に、FRBがウォール街の大手銀行に課す資本要件を大幅に緩和する修正案をまとめ、その概要を他の米金融監督当局に示したと、事情に詳しい複数の関係者の話を基に報じた。

原題:Fed’s Bowman Says Bank Regulators Working on Stablecoin Rules(抜粋)

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