マイケル・セイラー氏の壮大なビットコイン実験に乗った個人投資家が大きな打撃を受けている。

セイラー氏が創業し暗号資産(仮想通貨)ビットコインに積極投資する米ストラテジー社は、デジタル通貨の広範な値下がりを受けて株価が直近高値から60%余り下落した。市場の動揺を鎮める対応を迫られている同社は1日、配当や利払いに備えて14億ドル(約2200億円)の準備金を創設したと発表した。ビットコイン価格がさらに下落した場合に備え、同社が保有資産を売却せざるを得なくなるとの懸念を和らげる狙いだ。

しかし、多くの投資家はすでに痛手を受けている。ストラテジー株の値動きを倍化して追う上場投資信託(ETF)のうち、最も人気の高いMSTXとMSTUは年初から80%超下落。今年取引されている4700本超の米国ETFの中でワースト10に入る下落率となっている。金鉱株や半導体株を空売りするETFに次ぐ低迷ぶりだ。6月に暗号資産ブームの中で新規設定されたMSTPも上場以来、同様の下げを記録している。これら3本のETFは10月初め以降で計約15億ドルの資産を失った。

ディファイアンスやタトル・キャピタル・マネジメントといった運用会社が、ビットコインの代替としてストラテジー株を原資産とするハイリスクのレバレッジ型ETFを設定した際には個人投資家の資金が殺到していた。しかし、暗号資産への賭けを簡単に増やす手段として始まったこうした商品は、レバレッジや相場の急変、市場心理が悪循環を招く危険性を示す教訓となっている。

ストラテジーの株価は11月に34%下落し、ビットコインも10月の高値から約30%値下がりした。1日の取引ではストラテジー株が一時12%安まで売られ、最終的に3.3%安で引けた。

TMXベッタFiのセクター・産業調査責任者ロクサーナ・イスラム氏は「ビットコインの下落はストラテジー株に大きな打撃を与えた。レバレッジ2倍型のMSTXやMSTUではその損失がさらに拡大する」と指摘。「レバレッジ型の単一株ETFは上昇局面では魅力的に見えるが、逆方向に動いた途端に利益を急速に失うことを改めて示している」と述べた。

ディファイアンスはコメントを控えた。タトル・キャピタルとMSTPを運用するグラナイトシェアーズにも取材要請したが、返答はなかった。

原題:Crypto’s Retail Traders Hit Hard as Strategy ETFs Plunge 80%(抜粋)

--取材協力:Ye Xie.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.