(ブルームバーグ):2日の日本市場で債券は上昇。警戒感の強かった10年国債入札を無事に終えたことで買い安心感が広がった。株式は小幅に反発、円は対ドルで155円台後半に下落した。
財務省がこの日実施した10年国債入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が過去12カ月平均を上回った。10年債利回りは午前に一時1.88%と2008年以来の高水準を連日で更新しており、利回り水準の高さを評価した投資家の需要が集まった。
明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、入札は「しっかりめの結果となった」と指摘した。「10年ゾーンが安定すれば、利回り曲線全体が落ち着く可能性がある」と述べた。
日本銀行の植田和男総裁が1日の講演で、今月の金融政策決定会合で「利上げの是非について適切に判断したい」と言及し、市場では利上げを織り込ませる発言と受け止められた。同日は金融政策変更の影響を受ける中長期ゾーンの利回りが大幅上昇。欧州、米国市場での債券売りにも波及していた。
債券
債券相場は10年債入札の結果を受けて長期債や先物を中心に買い戻しの動きが強まった。根強い財政悪化懸念から軟調だった超長期債も上昇に転じた。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは電話取材で、10年債入札は無難ないしやや強めの結果となり、中長期金利は今後落ち着くとの見方を示した。
みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、入札は市場に安心感を与える結果になったと指摘。利上げ期待はだいぶ織り込まれたため、政策金利期待の面から長期債が売られるには何らかの日銀カタリストがないと難しいと述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
株式
株式相場は小幅反発。日銀による今月の利上げ観測を背景に銀行や保険などの金融株が高い。住友電気工業や三井金属など非鉄金属のほか、ロボット関連株なども買われた。個別ではファナックが米エヌビディアとの「フィジカルAI」分野での協業を発表したことを受けて一時9.4%上昇した。
ピクテ・ジャパンの田中純平投資戦略部長は銀行株の上昇について、金利上昇局面ではグロース株のバリュエーションが低下する傾向があり、「中長期的な視点でバリュー株へのローテーションが一部進んだ可能性がある」と話した。この日はTOPIXバリュー指数が上昇する一方、グロース指数は小幅下落した。
為替の円高への警戒感から自動車などの輸出関連は売られ、相場は下げる場面もあった。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、利上げ観測を背景に前日の日本株は下落したものの、実質的な金利水準は引き続き緩和的で追加利上げは経済に過度なマイナスではないと話す。その上で、年末にかけてポジションを縮小したい投資家の需要もあり、日米の金融政策決定を前に「行ったり来たりの動きが続きやすい」と指摘した。
為替
円相場は対ドルで155円台後半に下落。米国金利の上昇などを背景にドルが買われ、円の重しになっている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、日銀の植田総裁の発言について「先にカードを切ってしまった」とし、一度利上げすると当面は追加利上げが見込みにくく、円高材料が一つ消えたとの見方を示した。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:アリス・フレンチ、日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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