(ブルームバーグ):2日の日本市場では長期債や超長期債が下落し、10年債利回りは2008年以来の高水準を連日で更新した。世界的に長いゾーンの債券が売られた流れに加え、この日の10年国債入札に対する警戒感から売りが優勢だ。株式は上昇、円は対ドルで一時155円台後半に下落した。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、10年債入札への警戒感が出ているほか、4日には30年債入札を控えて超長期債も不安定な展開が見込まれるとし、「超長期債が落ち着かないと長期金利も低下しづらい」と述べた。
日本銀行の植田和男総裁は1日の講演で、今月の金融政策決定会合で「利上げの是非について適切に判断したい」と語った。市場では利上げを織り込ませる発言と受け止められ、同日は金融政策変更の影響を受ける中長期ゾーンの利回りが大幅上昇。欧州、米国市場での債券売りにも波及した。
債券
債券相場は長期や超長期債を中心に下落。海外金利上昇の流れや10年債入札に対する警戒感が重しになっている。
財務省は2日、10年利付国債入札を実施する。発行予定額は2兆6000億円程度。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、「足元の水準は決して悪くなく一定の需要はあるとみるが、短期間でさらに金利上昇する可能性を踏まえ、慎重対応としたい」として、弱い結果を予想している。
株式
株式相場は上昇。日銀による今月の利上げ観測を背景に銀行株が高い。フジクラや三井金属など非鉄金属のほか、ロボット関連株なども買われて相場の支えになっている。個別ではファナックが米エヌビディアとの「フィジカルAI」分野での協業を発表したことを受けて一時9.4%上昇した。
もっとも、相場の上値は重く、TOPIXは下落に転じる場面もある。金利上昇局面で不利になりやすい不動産株が下落し、指数の重荷になった。前日の海外市場で為替相場が一時円高に振れ、輸出企業の業績を圧迫するとの見方からトヨタ自動車など自動車などの輸出関連株も軟調だ。
為替
円相場は対ドルで一時155円台後半に下落。米国金利の上昇などを背景にドルが買われ、円の重しになっている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、日銀の植田総裁の発言について「先にカードを切ってしまった」とし、一度利上げすると当面は追加利上げが見込みにくく、円高材料が一つ消えたとの見方を示した。
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