(ブルームバーグ):バーゲン狙いのゲーマーにとって、今年の「サイバーマンデー(感謝祭翌週の月曜日)」は期待外れとなりそうだ。トランプ米大統領が導入した関税が、今年の年末商戦に影響していることが浮き彫りになっている。
割引情報サイト「クレイジー・クーポン・レディ」のシニアエディター、クリスティン・マグラス氏はソニーグループの家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」や任天堂の「スイッチ2」など、最新の人気ゲーム機は通常通り高値で販売されるものの、例年であれば旧型モデルにはサイバーマンデーの値引きが適用されるが、今年はそれが見られないと述べた。例えば2021年発売のスイッチ有機ELモデルは、値引きの代わりに無料のゲームダウンロードを付けた形で、定価のまま販売されているという。
ソニー、任天堂、マイクロソフトの3社は今年、ゲーム機本体の価格を引き上げる方針を事前に警告していたが、それでも年末商戦では何らかの割引があるとの期待はあった。しかし、マグラス氏は「旧型モデルが定価で販売されているのは予想外だ」と語り、「魅力的なゲーム関連のセールがまったく見当たらない」と指摘する。
年末商戦はこれまで強弱まちまちの内容となっている。全米小売業協会(NRF)は今月初め、11月と12月の消費支出が最大で前年比4.2%増の1兆200億ドル(約158兆円)に達するとの見通しを示した。これは前年の4.3%増に比べてわずかに鈍化したペースとなる。一方、雇用市場の不透明感や43日間にわたる政府機関閉鎖への懸念を背景に、11月の米消費者信頼感指数は7カ月ぶりの低水準となった。ブラックフライデーにおいても、目立った割引が乏しく、買い物客の反応は総じて低調だった。
アドビによると、今年のサイバーマンデーも例年通り、米国で年間最大のオンラインショッピングの日になると予想されており、消費者による支出額は前年より6.3%多い142億ドルに達する見込みだ。同社によれば、この日は年間を通じて電子機器の購入に最も適した日とされており、平均割引率は30%に上るという。ヘッドホンやロボット掃除機、フィットネストラッカーなどの割引率は例年並みで、これは関税発動に先んじて輸入業者が在庫を多めに確保したためではないかとの見方もある。
今年の年末商戦は、トランプ大統領が4月に発表した包括的な関税措置の影響が初めて表れるタイミングとなった。この措置は数十カ国を対象としており、世界のサプライチェーンに衝撃を与えただけでなく、米国の主要輸入先である中国との間では現在も交渉が続いている。関税の影響が消費者価格に反映されるまでには最長で1年かかるとされるが、すでに支出額は増えているのに得られる商品は減っている兆しが出ているという。セールスフォースによれば、感謝祭当日のオンライン注文件数は前年比2%減少する一方で、1件当たりの平均注文価格は8%上昇した。
玩具や電子機器といった人気のギフト商品は、多くが中国を含む海外から調達されているため、関税の影響を直接受けている。
セールスフォースの消費者インサイト部門ディレクター、カイラ・シュワルツ氏は「関税がホリデーシーズンにおける玩具や電子機器といった主要な裁量消費分野のコストを押し上げている」と指摘。「高所得層の消費者は、家具や高級品など高価格帯の贈答品に支出を傾けている一方で、中所得層はこれまでの定番ギフト分野から価格的に締め出されつつある」と述べた。
原題:Cyber Monday Video Game Prices Reveal Weight of Trump Tariffs(抜粋)
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