オーストラリアの住宅価格は11月も上昇した。需要が供給を上回り続けているためで、こうした状況はインフレ圧力を強め、オーストラリア準備銀行(中央銀行)による追加利下げを阻む可能性がある。

不動産コンサルティング会社コタリティが12月1日に発表したデータによると、住宅価格指数は前月比1.0%上昇。10月の1.1%上昇に続いた。都市別ではパースが2.4%と最大の伸びを記録し、シドニーは0.5%、メルボルンは0.3%上昇した。

豪健全性規制庁(APRA)は先週、住宅ローンの貸出規則を強化する方針を示した。与信の伸び加速と過去最高水準の住宅価格による金融安定性リスクの蓄積を抑えるためだ。投資家の需要がけん引し、住宅ローンは7-9月(第3四半期)に予想を上回る急増を見せ、過去最高を記録した。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のチーフエコノミスト、スーリン・オン氏(シドニー在勤)は、投資家の活動が沈静化しない限り、来年はさらなるマクロプルーデンス政策(金融システム全体の安定を図る措置)が発動されると予想する。そうした措置は「ショックが発生した場合や、活動および労働市場が著しく悪化した際に、負債の蓄積や脆弱(ぜいじゃく)性が高まるのを防ぐ」のに役立つと述べた。

豪中銀による過去3回の利下げを受け、政策金利は現在3.6%と2023年4月以来の低水準にある。

豪中銀にとって、「生産能力の制約があり、基調インフレが目標を上回っている」時期に不動産融資の過熱感を和らげる措置はありがたいだろうとオン氏は指摘した。

 

豪中銀は来週、今年最後の金融政策決定会合を開く。住宅関連コストを主因とするインフレ再加速の兆しが見られる中、政策金利は据え置かれるとの見方が大勢を占めている。

原題:Australian Home Prices Extend Gains as Affordability Worsens (1)(抜粋)

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