ロシアがメッセージアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」の全面的な遮断に向かっている。西側の通信・技術プラットフォームを国産に置き換えようとする動きの一環で、既に数カ月前からWhatsAppのサービス機能を制限し始めている。

ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ監督庁(ロスコムナゾール)は、米メタ・プラットフォームズが提供するWhatsAppについて段階的な制限を加え始めたと、インタファクス通信とタス通信が同庁の発表資料を引用して報じた。同庁は、WhatsAppがロシア国内でのテロ攻撃の組織化や実行犯の勧誘に利用されており、ロシア法に違反していると主張している。

ロシアで最も人気のあるメッセージアプリであるWhatsAppでは、8月から通話が制限されているが、テキストメッセージは引き続き利用可能。ロシアメディアは先月、携帯通信事業者が同アプリへの登録やログアウトを試みるユーザーにSMSコードを送信しないよう指示されたと報じた。これを受け、WhatsAppはロシアのユーザー向けにパスキーを使用する代替ログイン手段の提供を開始した。

ロスコムナゾールは11月28日、WhatsAppに対する制限措置を継続し、ロシア法を順守しなければ最終的には全面遮断に踏み切る考えを示した。

ロシアによる2022年のウクライナ侵攻以降、ロシアは自国の統制が及びにくいサービスへの圧力を強めてきた。フェイスブックやインスタグラム、X(旧ツイッター)といった米国資本のソーシャルメディアプラットフォームを禁止し、YouTubeへのアクセス制限も開始した。中国企業バイトダンスが所有するTikTokの人気も低下している。同社がロシア法の変更を受け、ロシアのユーザーによる海外コンテンツやライブ配信へのアクセスを制限し始めたためだ。

プーチン大統領は6月、行政サービスの提供や文書保管、メッセージング、銀行業務、その他公共・商業サービスを集約する「Max」と呼ばれる国営「スーパーアプリ」を創設する法案に署名した。このプラットフォームは、政府の管理下にある企業VKが開発し、中国の微信(ウィーチャット)をモデルにしている。

原題:Russia Warns of Full WhatsApp Block as It Pushes Domestic Apps(抜粋)

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