(ブルームバーグ):人工知能(AI)関連銘柄の浮き沈みが激しさを増す日本株市場で電力銘柄の堅調が目立ってきた。AI投資に伴う電力需要の拡大期待に加え、高市早苗政権下で原子力発電所の再稼働が進むとの思惑が強まっていることが背景にある。
東京証券取引所の電気・ガス業指数は、高市氏が自民党総裁選挙に勝利し首相に就任する可能性が高まった10月4日以降に20%上昇し、33の業種別指数の中でもトップクラスのパフォーマンスとなっている。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、下落リスクが小さい銘柄に「資金がシフトしている」とした上で、AIの活用が広まると電力需要が伸びることからエネルギー関連株への注目は集まりやすいと指摘する。
近年、電力業界を取り巻く環境は激変している。国内の電力需要は人口減や省エネの影響で2023年ごろまで低下傾向が続いていたが、その後はデータセンターや半導体工場の新増設などに伴い増加に転換。経済産業省によると、今後10年程度は増加基調をたどると予想されている。
原油、天然ガスなど主要なエネルギー源を輸入に頼る日本にとって、電力消費の拡大は原発の重要性を高める要因になる。11年の福島第一原発事故以降、多くの原子力施設が稼働を停止したままで、国内で現存する33基の原子炉のうち稼働しているのは11基にとどまる。
今月に入り新潟県知事が柏崎刈羽原発の再稼働を容認する方針を表明。北海道知事も近く泊原発の再稼働に同意すると報じられ、原発に対する地元自治体の抵抗感が薄れてきているとの見方が強まりつつある。実際に再稼働が進んでいけば電力会社の収益改善余地は小さくない。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、電力株は「原発再稼働と電力需要増大への期待双方で上昇している」と指摘。ただ、国内のデータセンター建設費用は世界的に見ても高いとの見方があり、市場の思惑通りに建設が進むかどうかは注意が必要とも話した。
期待が株価に織り込まれ過ぎている可能性はある。電気・ガス業指数は現在、セルサイドのアナリストによる構成銘柄の目標株価を11%上回る。過去には調整のきっかけになったこともある異例の水準だ。
とはいえ、電力セクターの割安感は強い。指数の株価純資産倍率(PBR)は0.83倍と、東証のコーポレートガバナンス(企業統治)改革を受け日本企業のPBRが全体的に底上げされる中、数少ない1倍割れ業種の一つとなっている。今月初めには東証株価指数(TOPIX、1.66倍)との乖離(かいり)が00年以来の大きさとなった。
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.