(ブルームバーグ):大阪ガスは人工知能(AI)の普及に伴いデータセンターの電力需要が急増する米国で天然ガス火力発電事業の拡大を目指す。他社からの既存設備買収や新規の建設などを通じて米国で同事業を強化する方針だ。
藤原正隆社長はブルームバーグとのインタビューで、海外投資は今後の「ファースト・プライオリティ(最優先事項)になってくるのではないか」と述べ、海外のガス開発や発電事業で「機会があればM&A(合併・買収)をして事業拡大し、時間を買っていくことになる」と語った。また、他社と共同保有するガス火力事業で自社の出資比率を引き上げる交渉も進めているという。
米エネルギー省のローレンス・バークレー国立研究所によると、データセンターの電力需要は2028年までに2-3倍に増加し、消費量は全体の最大12%を占める見通しだ。主な供給源はガス火力が担うとみられ、少子高齢化などの影響で国内ガス需要の伸びが期待しにくく、成長機会を海外に求める大阪ガスにとっては好機となる。
AI関連投資には過熱感を懸念する声もあるが、藤原社長は人口増加が続くと予想される米国ではAIが想定ほど発展しなくてもエネルギー需要は伸びていくはずだと話す。米国はベースとなる「エネルギーの需要が強い国だから、まだまだチャンスはある」と意欲を示した。
一方、液化天然ガス(LNG)の調達では、現在の長期契約は北米とオセアニアに偏っており、「東南アジアや中東といったところにも今後調達先をできれば分散をして拡大をしていきたい」と言う。2月に発表したアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)との契約締結もその一環だという。
米国、豪州に次ぐLNG輸出国のカタールとの長期契約については、要求される最低引取量が多い点が課題だと指摘。最低引取量の詳細への言及は避けながらも、調達先の選択肢としてカタールを排除はしていないとも述べた。
また、大阪ガスを含め国内電力・ガス会社のLNG調達先となっているロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を巡っては、「非常に今のところは安心している」と述べた。高市早苗首相が10月のトランプ米大統領来日中に、日本にとって重要なエネルギーである旨を伝えたと漏れ聞いたためだ。
LNG契約の多くには「テイク・オア・ペイ条項」が盛り込まれており、買い手は契約量をすべて引き取らなかった場合でも、全代金を支払う必要がある。エネルギー・金属鉱物資源機構の調査によると、23年時点で国内の買い手企業が保有するLNG契約の93%に当たる約6700万トンに同条項が適用されている。サハリン2からの調達も「普通のLNGの取引だから当然テイク・オア・ペイがある」と藤原社長は説明する。
そのため、日本がロシア産LNGの輸入停止に踏み切っても、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力強化につながるかは不透明だ。藤原社長は日本が輸入を止めても行き場を失ったロシア産LNGは「中国などに行くことになる」とし、日本の国益にはならないとの見方を示した。欧米の制裁の影響で、中国はロシアの北極圏LNGプロジェクト「アークティック2」から割安価格でLNGを引き取っていると一部で報じられている。
--取材協力:Shery Ahn.
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