(ブルームバーグ):米国の消費者は、過去最長となった政府閉鎖前の段階で既に疲労感を見せており、その後も見通しは悪化している。年末のホリデー商戦を控え、警戒感が広がっている。
米商務省が25日に発表した9月の小売売上高はインフレ調整前で前月比0.2%増にとどまり、数カ月続いた、より堅調な支出から鈍化した。さらに、民間調査機関のコンファレンスボードが発表した11月の米消費者信頼感指数は7カ月ぶりの低水準となり、労働市場や景気への不安を反映した。
パンテオン・マクロエコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、オリバー・アレン氏は「ここ数年、成長の原動力となってきた消費が、年末にかけてかなり鈍化している全体像が浮かび上がる」と語る。

最近の企業決算でも、消費者が高額商品の購入を控え、値ごろ感を求める傾向が明らかになった。一方で、ディスカウント百貨店チェーンの米コールズは25日、米家電量販店ベストバイやカジュアル衣料を手掛ける米アバクロンビー・アンド・フィッチ(アバクロ)などと同様に、業績見通しを引き上げた。景気不安とは裏腹になじみがあり信頼できるブランドへの消費が続いていることを示した。
米信用調査会社トランスユニオンの調査では、米国人の半数強が今年のホリデーシーズンに昨年と少なくとも同程度の支出を見込むと回答した。ただ、これは関税の影響で企業がブラックフライデーの値引き縮小を余儀なくされることから、物価上昇を反映している可能性もある。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏は「物価が依然として高止まりしている現状を踏まえると、消費者は慎重姿勢を強めている」とした上で、「だが、米消費者を決して過小評価できない」と話す。
LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏によると、11月のコンファレンスボードの米消費者信頼感指数は、調査回答期間が11月18日までで、政府閉鎖解除後の数日間が含まれていたため、結果が若干ゆがめられた可能性がある。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエリザ・ウィンガー氏はリポートで、政府再開を受けて同指数は12月に小幅な改善が見込まれると指摘した。
政府閉鎖前の景況
9月の小売売上高は閉鎖の影響で公表が遅れた。同様に延期され同日に発表された9月の米生産者物価指数(PPI)は、エネルギーと食品を除いたコア指数が比較的小幅な上昇にとどまった。
これを受け市場では、12月9-10日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げが行われるとの見方が強まった。
PPIでは、エネルギーと食品価格の上昇が目立ち、他の品目の伸びを相殺した。企業は関税負担を補うための値上げを抑えていることがうかがえる。コアのPPIは前年同月比2.6%上昇と、2024年7月以来の小幅な伸びにとどまった。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏はリポートで、食品価格を除けば「最新のPPIデータは、米利下げを妨げる要因ではない」とする一方、「追加利下げを促す要因でもない。食品価格の大幅上昇は追加緩和に逆風となる」と分析した。
労働市場の動向
労働市場に対する消費者の不安は、別の統計で裏付けられた。ADPリサーチ・インスティテュートとスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボが25日発表した暫定推計によると、11月8日までの4週間に民間雇用者数が週平均1万3500人減少した。前の2週の統計も減少を示していた。
労働統計局(BLS)が先週発表した9月の雇用統計では堅調な雇用増が示されたが、それは主に2つの業種に集中していた。失業率もわずかに上昇した。
ベストバイなどの小売業者は一部で消費に底堅さが見られることを鮮明にしたが、消費者が景況感調査で示す心理と実際の支出行動の乖離(かいり)が浮き彫りになった。
ワインバーグ氏は「信頼感の低下にもかかわらず、消費はかなり堅調さを維持している。この乖離は所得の力強い伸びを意味するはずだが、雇用統計ではむしろ鈍化が示されている。現時点ではデータが明確なメッセージを発していない」と論じた。
原題:US Consumers Dial Back in Sign of Anxiety Heading Into Holidays(抜粋)
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--取材協力:Nazmul Ahasan、Jarrell Dillard、Matthew Townsend、Vince Golle、Lily Meier、Jeannette Neumann.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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