(ブルームバーグ):米テスラが、欧州で自動運転支援システムの承認取得を目指して協力してきた規制当局と対立を深めている。発端はテスラがSNS「X(旧ツイッター)」に投稿した内容をオランダの許認可当局が否定したことだ。
問題となっているのは、テスラが「フルセルフドライビング(FSD)」として提供するシステム。米国では数年前から販売されているが、欧州では認可待ちだ。同社は23日、欧州での承認確保に向けた「主な道筋」はオランダ運輸・公共事業省担当局(RDW)から認可を得ることだとXに投稿した。
テスラは、RDWが「2026年2月にオランダで承認することを約束した」とXに記載したが、翌日には当局が否定した。RDWによれば、26年2月には同社がFSDを実演できると見込まれているものの、システムの承認まで約束したわけではない。
RDWはウェブサイトで「われわれは製造業者からの現在進行中の申請に関して、ビジネス的に微妙な情報を含むため詳細は公表しない」と説明。その上で、「RDWとテスラの双方は、2月の判断に向けて必要なプロセスを認識している。このスケジュールが達成されるかどうかは今後の状況次第だ」とした。
テスラを率いるイーロン・マスク氏は、FSDの欧州における認可プロセスへの不満をたびたび表明しており、今月初めの年次株主総会でも、「欧州の顧客の皆さんから、規制当局に承認を求める圧力をかけてもらえるとありがたい」と語った。その後、テスラはFSDの安全性に関するデータをウェブサイトで更新したが、専門家らは不適切な比較や手法上の問題を理由に疑問を投げかけた。
23日には、テスラの欧州公式アカウント(@teslaeurope)が、Xへの投稿でRDWの問い合わせページを共有し、RDWの承認に感謝の意を伝えようと人々を促した。RDWはこれに対し、24日の発表資料で「既に連絡をくれた方々には感謝するが、この件に関してこれ以上連絡しないよう強くお願いしたい」と記した。
RDWは自動運転システムの認証や検証の専門家たちと連携して、テスラが申請しているような例外承認の審査方法を検討している。ウォーリック大学で安全な自律運転に関する研究の責任者を務めるシッダールタ・カースティギル氏はこの取り組みがいまも続いていると述べた。
カースティギル氏は電話取材に「承認プロセスが進められているさなかであるとすれば、26年2月に許可が下りることはあり得ないだろう」と語った。その後のメールには、RDWに圧力をかけるというテスラのような例を聞いたことがないと記した。
同氏は、自動運転システムの承認プロセスは公共の安全を確保するために極めて技術的なもので、その正当性は独立性と厳密性で担保されるべきだとする。そのうえで、「外部からの圧力で決まるものではない」と指摘した。
原題:Tesla’s EU Regulator Denies Carmaker’s Claim FSD to Be Approved(抜粋)
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