中国は日本に対する制裁措置を強化し、日本産水産物の輸入を停止した。これは日中の外交摩擦が収束からほど遠いことを示唆している。

中国外務省の毛寧報道官は19日、北京で記者団に対し、日本は水産物出荷再開の条件を満たしていないと指摘。輸入停止を伝えていた共同通信など日本メディアの報道を事実上認めた。高市早苗首相の発言が撤回されなければ、中国は「重大な対抗措置」を取るとも語った。

一方、木原稔官房長官は同日午後の会見で、報道に関して「中国政府から連絡を受けたという事実はない」と否定。その上で、引き続き中国側には、「申請中の輸出関連施設の速やかな再登録を含む輸出の円滑化を働きかけるとともに、残された10都県産の水産物の輸入規制の撤廃等を強く求めていく」と語った。

高市首相が台湾有事の際に自衛隊の集団的自衛権の行使が可能な事例について具体的に言及して以降、日中間に緊張が高まっている。中国は即座に反発し、さらなる措置も示唆。共同通信によると、中国は日本産牛肉の輸入再開協議も中止した。

また中国でスパイ摘発などを担う国家安全省は19日、高市首相が「火遊びをしている」とソーシャルメディアへの投稿で非難し、発言を撤回しなければ何らかの結果を招くと警告した。詳細には言及しなかったものの、日本が関与する複数のスパイ事件を同省が摘発したと触れたうえで、国家の安全を断固として守るとした。

こうした動きは、緊張緩和を目的とした日中の実務者協議に進展が見られなかったことが背景にある。中国メディアの澎湃新聞によると、中国外務省の劉勁松アジア局長は、日本外務省の金井正彰アジア大洋州局長との協議結果について「不満だ」と述べた。

日本側は、台湾に関する日本の立場は変わらないと改めて表明したという。金井氏は、在大阪中国総領事の薛剣氏が行った「極めて不適切な発信」をあらためて強く抗議した。

経済的影響

24年以降、日本から中国への水産物輸入は大幅に減少している。中国税関のデータによると、今年1-9月の魚介類の輸入額はわずか計50万ドル(約7700万円)にとどまっている。

日本産水産物の輸入停止の報道を受け、関連銘柄の株価が下落。極洋は一時2.7%安、ニッスイは3.1%下げた。一方、中国の水産関連株は買われ、湛江国聯水産開発は20%高、大湖健康産業は10%上昇した。

 

事情に詳しい関係者によると、中国政府は国民に日本への渡航を控えるよう警告し、これにより少なくとも国有旅行会社2社が既に予約済みだった団体旅行を中止した。この影響で日本の観光関連や小売り大手の株価が一時急落した。

中国国有企業は社員にも日本への渡航自粛を指示。投資会社や銀行、証券会社などが今週、注意喚起のメッセージを出したという。

過去に中国が日本、オーストラリア、韓国などと対立した際、経済制裁を手段として用いたことから、今回も貿易を武器化する可能性が懸念される。領有権を巡り中国と日本が対立した10年余り前には、レアアースの対日輸出を一時停止した例がある。

日本貿易会の安永竜夫会長(三井物産会長)は19日の会見で、レアアースの供給不安につながる可能性を否定できないと警戒感を示した。

 

原題:China Steps Up Retaliation Against Japan With Seafood, Film Bans(抜粋)

(第5段落を追加します)

--取材協力:Yusuke Maekawa、Hallie Gu、Josh Xiao、エディ・ダン、Phila Siu、Dan Murtaugh、Alan Wong、Colum Murphy、Nectar Gan、Jing Li、Catherine Wong.

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