世界の金融市場を覆う停滞感が、クレジット市場にも広がりつつある。

投資適格債からジャンク(投機的格付け)債まで、あらゆる社債のリスクプレミアムが数週間ぶりの高水準付近で推移している。17日には複数の起債案件で、最終条件が提示された後、応募の約4割が取り消された。この割合は通常見られない高い水準だ。先週には、別の投資適格債の起債案件で取りやめになるという珍しい事例もあった。

レバレッジドローン市場でも、銀行が買収関連の一部のデット販売に苦戦している。

クレジット市場はパニックには程遠く、バリュエーションは依然として数十年ぶりの高水準付近にある。だが慎重ムードが強まりつつあるとの見方が資金運用者の間で広がっている。

18日のS&P500種株価指数は4営業日続落し、8月以来最長の下げとなった。先週半ばからの下落率は約3%。今年の株高をけん引してきたハイテク株は、人工知能(AI)が期待ほどの成果を生まないのではとの懸念が広がる中で下げている。

ウェリントン・マネジメント・カンパニーのポートフォリオマネジャー、ブリジ・クラナ氏は、「成長に問題がありそうな兆候が見られるが、それが債券利回りに反映されていない」と話す。

こうした点が、債券投資家が慎重姿勢を強める一因となっているようだ。

資金運用者はここ数週間にテック企業の社債を大量に買い込んでいる。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストがまとめた17日のリポートによると、クラウドサービスを大規模展開するハイパースケーラーが今年起債した投資適格級のドル建て債は約1210億ドル(約19兆円)と、過去5年間の年間平均である約280億ドルを大きく上回った。そのうち約810億ドル相当の起債が9月以降に行われた。

キャピタル・グループのポートフォリオマネジャー、ブライアン・ウォン氏は、「今回の供給の波は、過去数年間と比べて桁違いに大きい」と述べ、「市場は誰が勝者で誰が敗者となるのか、そして投資リターンがどうなるのかを問い始めている」と語った。

17日の起債では、資金運用者の慎重姿勢が顕在化した。アマゾン・ドット・コムによる150億ドル規模の起債では、一時約800億ドルの応募があったが、最終条件の提示後にその規模は約470億ドルと、4割強減少した。こうした割合は通常、2割前後であることから、異例の落ち込みだ。同日には他の3件の起債案件でも同様の応募取り消しが見られた。

市場には他にも不安の兆しがある。市場で取引されている中で最も格付けの低い「CCC」級の債券利回りは、17日に10.38%に上昇し、8月下旬以来の高水準となった。こうした証券のリスクプレミアムも上昇して、約3カ月ぶりの大きさとなった。リスクが高まる局面で低下するマークイットCDX北米高利回り指数は約106.4と、6月以来の低水準を記録した。

原題:AI Bubble and Growth Fears Are Creeping Into US Credit Markets:(抜粋)

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