(ブルームバーグ):人工知能(AI)関連の代表格エヌビディアが決算発表する今週は、株式市場にとっていつものように重要な週になるはずだった。だが、大手小売り企業の決算も相次いで発表されるため、消費や経済の健全性を見極めたいトレーダーにとっては今後数日間の重要性が急激に増している。
ウォルマートやターゲット、ホーム・デポなどの決算は、ウォール街が頼れるデータが乏しい時期に消費動向の洞察を提供するだけに、多くの点でエヌビディアの決算の影を薄める可能性がある。
ここ3年の株式相場の上昇をけん引してきたのはAIブームだが、株高の土台を支えてきたのは底堅い消費だ。その支えが揺らげば、相場全体の足元が不安定になりかねない。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのサミーア・サマナ氏は、テクノロジー株に強気な投資家が「AI」を盛んにアピールするかもしれないが、消費関連株こそ実体経済と直結しており、市場の関心が急速にそちらへ移りつつあると指摘。「結局のところ、消費者がどれだけヨガパンツやチーズバーガーを買いたいかが重要だ」と語った。
米政府機関の一時閉鎖で経済統計の公表が滞る中、企業利益の源泉となる消費支出に関する最新のデータは特に必要とされている。投資家は労働市場の弱さを懸念するものの、政府統計が40日余り途絶えた後だけに、その程度は不明だ。
サマナ氏は、同業他社の業績報告が不振であることから、「極めて厳しい状況」にある消費者像が小売業者の決算で浮き彫りになると予想している。
株式市場ではテック株から消費関連株への資金移動が進みつつある。アマゾン、メタ、テスラなど割高感のある銘柄が売られる一方で、ディフェンシブな消費関連株が買われている。
トゥルイスト・アドバイザリー・サービスのチーフ投資責任者キース・ラーナー氏は、「小売り大手の決算は景気循環のどの段階にいるのかを示す重要な指標になる」と指摘。「期待値は低く、わずかな好材料でも株価を押し上げる可能性がある」と述べた。
原題:‘Yoga Pants and Cheeseburgers’: Traders Turn Focus to Consumers(抜粋)
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