欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、トランプ米大統領がホワイトハウスへの返り咲きを決めてから1年を経た中で、域内経済へのダメージを評価し、2026年の成長予測を下方修正する可能性がある。

欧州委が17日に公表する経済見通しは、米国による関税引き上げや通商上の威嚇による累積的影響に加え、ドイツ経済の弱さとフランスの政治混乱に言及する内容となりそうだ。

トランプ氏が「解放の日」と呼ぶ4月2日の関税発表を受け、欧州委は5月に示した春季見通しで既に悲観的な見通しを示していた。トランプ氏は交渉継続のため措置を一時停止。7月に米国と合意に達した欧州当局者は結局、大半のEU製品に対する15%の関税を受け入れることになった。

25年については想定よりも落ち込みが軽微となった。欧州委は当初、ユーロ圏の域内総生産(GDP)伸び率を0.9%と予測しており、今回はこれを上方修正する見込み。

一方、同委は26年の伸び率を1.4%と見込んでいたが、実現は難しくなっている。欧州中央銀行(ECB)は9月時点で1%成長を予測していた。

ECBは直近の声明で「依然高い不確実性に加え、実質的な関税率の上昇、ユーロ高、世界的な競争激化が成長の重しになる」と指摘した。

 

ドイツでは、防衛やインフラ支出の拡大を背景に、新型コロナウイルス禍後で初めて本格的な経済成長が見込まれていたものの、それほど印象的な年にはならないようだ。独政府の経済諮問委員会は、26年の成長率見通しを1%未満に引き下げた。

フランスでは政治的な不安定さが依然として続いている。フランス銀行(中銀)の試算では不確実性が成長を約0.5ポイント押し下げており、国内の政治・財政の混乱がその少なくとも0.2ポイントを占めている。

このほか、今週の主な経済イベントとしては、日本の7-9月期実質GDP速報値、英国の消費者物価指数(CPI)の発表が挙げられる。また、長らく遅れていた9月の米雇用統計は20日に公表される予定となり、注目を集めそうだ。

原題:Europe Gauges Fallout From Trump’s Year of Trade Chaos: Eco Week(抜粋)

--取材協力:Brian Fowler、Laura Dhillon Kane、Vince Golle、Monique Vanek、Robert Jameson、Mark Evans、Piotr Skolimowski、Carla Canivete.

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