米銀行規制監督当局は銀行の自己資本要件を緩和する条件で合意した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。米大手銀行は現行の要件について、国債を一段と多く保有する能力を制限していると指摘している。

関係者によれば、連邦準備制度理事会(FRB)など主要当局は、いわゆる強化補完的レバレッジ比率(eSLR)に関する最終案をホワイトハウスに提出した。この見直し案は、最大手銀行が総資産に対して保持する必要のある自己資本を減らせる内容で、6月に公表された案とほぼ一致している。

規制変更はウォール街の大手銀行に有利な措置となる。規制監督当局はトランプ政権下にあって、2008年の金融危機後に導入された複数の自己資本規制の緩和を目指している。ただ関係者の話では、一部の大手銀行は国債など特定の資産を新たな比率計算から除外するよう当局に求めていたものの、成果は上がらなかった。

FRB、連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)の担当者はいずれもコメントを控えた。

関係者によると、当局はホワイトハウスの承認を待って、今後数週間以内にこの措置を正式に採択することを目指している。だが、各機関による採決の最終的な時期は変更の可能性がある。改定後の規制の影響を受けるのはバンク・オブ・アメリカ(BofA)やJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループなどの大手米銀となる。

この規則は世界の銀行規制監督当局が金融システムの安定を維持するために合意したバーゼル3改革の一環。リスクベースの自己資本規制を補完するバックストップとして機能することを目的としている。

トランプ関税の影響

トランプ大統領の関税措置で市場が動揺に見舞われた4月以降、eSLRへの関心が再び高まった。大手銀行に資産に応じた一定水準の自己資本を保有するよう求める現在の基準について、市場の大幅変動の際に国債など一部の証券を保有する能力を制約していると、業界側は主張している。

ボウマンFRB副議長(銀行監督担当)は6月、予定されている見直しによって国債市場の耐性が強化され、将来のストレス局面でFRBが介入する必要性を低減できるとの考えを示した。

一部の専門家は、基準の見直しによって国債需要が押し上げられる可能性があると指摘する一方、問題につながるとして批判的な声もある。

ボウマン氏の前任の銀行監督担当副議長を務めたバーFRB理事は先に、「この提案は最大手銀行の自己資本を弱体化させ、米国の銀行システムを危険にさらす」と述べていた。

原題:Regulators Move to Finalize Bank Capital Plan Tied to Treasuries(抜粋)

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