イングランド銀行(英中央銀行)は10日、個人によるステーブルコイン保有額に一時的な上限を設け、1人当たり最大2万ポンド(約400万円)とする方針を明らかにした。ステーブルコインは法定通貨に連動する暗号資産(仮想通貨)。

発行体については、裏付け資産の最大60%を短期国債で保有できるよう認める計画。英中銀はポンドに連動するステーブルコインの規制に関する改定案を公表し、従来より柔軟な姿勢を示したが、保有制限を現在設けていない米当局と比べれば依然として厳しい立場を維持している。

英中銀はステーブルコインについて、「決済をより素早く低コストで効率的に行う可能性があり、幅広く利用され得る」と説明。最終的な規定は業界からの意見を踏まえ、来年策定する予定だ。

新たな提案では、発行体に裏付け資産の相当部分を短期国債で保有することを認める。当局は保有上限を十分高く設定することで、イノベーションを阻害しないとみている。

英中銀が今回示した主な方針は以下の通り。

  • 一般消費者が日常の決済で広く利用するステーブルコインについて、個人1人当たりの保有上限を2万ポンドとする
    • この上限は一時的なもので、ステーブルコインが経済や金融システムに及ぼすリスクが低下すれば緩和・撤廃される見通し
  • 企業の保有上限は1000万ポンド
    • スーパーマーケットや暗号資産取引プラットフォームなど、大量の残高を保有する必要がある企業については例外を設ける可能性がある
  • 発行体は裏付け資産の最大60%を短期の英国債で保有できる
    • 対象資産の満期の上限は来年改めて定める方針
    • 残る少なくとも40%は英中銀への無利息預金として保有する必要がある
  • より多くを利付国債で保有することを認めると「発行体が急な引き出しに対応する上で流動性を欠くリスクが高まり、信認を損ねかねない」と英中銀は結論付けた
  • 一方で、「発行時点でシステム上重要と認定されたステーブルコイン発行体については、一時的に裏付け資産の最大95%をポンド建て英国債で保有」することを認める

原題:UK Floats £20,000 Stablecoin Limit in Tougher Regime Than US (1)(抜粋)

--取材協力:Emily Nicolle.

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