高市総理に死角は? 「期待に応える」物価高対策になるかが焦点

外交ウィークが終わり、国会論戦がスタートした。臨時国会の最大の焦点は「物価高対策」だ。まずは当面の政治日程と争点を挙げる。

【臨時国会での主な争点】
・有効な物価高対策を盛り込んだ経済対策になるか
・補正予算に盛り込まれる防衛費増額に一部野党は反対、財源も論点
・政治資金規正法(企業・団体献金の受け皿規制強化)や衆院議員定数削減などの議員立法
・「食料品の消費税ゼロ」で野党結集は?
・「年収の壁」のさらなる引き上げは?
・労働時間の上限規制の緩和の是非

【10月の世論調査】で「高市総裁に取り組んで欲しい政策」で1位になったのは「物価高対策」だったが、【11月調査】ではより具体的に「政府・与党が検討している物価高対策のうち期待している政策」を聞いた。

【10月調査】
【11月調査】

結果は以下。
1位 食料品の消費税ゼロ 30%
2位 現役世代の社会保険料の引き下げ 23%
3位 ガソリン税や軽油引取税の暫定税率廃止 14%
4位 冬の間の電気・ガス料金の補助 10%
4位「年収の壁」のさらなる引き上げ 10%
6位「給付付き税額控除」の導入 4%

今回の臨時国会でこれらの政策は実現するのか。

まず「ガソリンの暫定税率廃止」は11月5日に与野党で正式合意し年内廃止が決まった。軽油取引税も来年4月に廃止することで合意した。冬の電気・ガス補助も補正予算案に盛り込まれる見通しだ。

すでに合意しているため設問には盛り込まなかったが「高校授業料無償化」や高市総理が所信表明で訴えた「自治体向け重点支援地方交付金の拡充」も実行される見通しだ。

一方で、難航が予想されるのは、「期待する物価高政策」で1位になった「食料品の消費税ゼロ」だ。総理就任前の5月高市総理は食料品の消費税の減税に賛同する考えだったが、総理就任後は「事業者のレジシステム改修に一定の期間がかかる」として否定的な考えに転じた。こうした発言の変遷は今後も野党側に追及される可能性がある。

立憲民主党は10月31日に「食料品の消費税を最大2年間ゼロにする」法案を提出し、野党各党に賛同を呼びかけているが、いまのところ野党が結集する見通しがたっていない。

2位になった「社会保険料の引き下げ」も実務者協議がまもなく始まるが、維新が主張する医療費の4兆円削減のための具体策はまとまっておらず、いまの国会で実現するのは容易ではない。