7日の日本市場では株式が大幅に反落。米国で政府機関の閉鎖が続く中、民間統計が雇用市場の冷え込みを示し、リスクオフの動きが広がった。

日経平均株価の終値は607円(1.2%)安で、節目の5万円を一時割り込む場面があった。米国株と同様にソフトバンクグループやアドバンテストといった人工知能(AI)、ハイテク関連銘柄の下げが大きい。円は対ドルで一時152円台後半とほぼ1週間ぶりの高値を付けた後、午後に下落に転じた。上昇していた債券も小幅下落(金利は上昇)して取引を終えた。

ニューヨーク証券取引所

米政府閉鎖により経済指標開示が限定されている中で民間指標への注目が高まった格好で、景気の先行き懸念から投資家心理が悪化している。これを受けて米利下げ観測が強まっており、日本銀行の利上げ観測には米景気不透明感を通じて抑制要因になる。

みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストらは7日付のリポートで、来週以降の市場の焦点に米政府機関閉鎖の終了や13日の米消費者物価指数(CPI)を上げた。「終了すれば株価には下支えで、CPIが市場予想を上回らなければ米利下げ継続期待が強まる」などと予想している。

株式

株式は大幅下落。米ハイテク株安を受けて、ソフトバンクグループやアドバンテストなどのAI関連銘柄に売りが集まった。前日の海外市場で円高が進んで電機や機械などの輸出関連も下落。朝方の金利低下を背景に銀行など金融株も安かった。半面、小売りや陸運といったディフェンシブ株に買いが集中した。

決算発表で利益予想を増額した太陽誘電は、為替効果を除けば実質的には下方修正したと受け止められて、値幅制限いっぱいのストップ安。味の素も決算を受けてストップ安まで売られた。一方、売上高計画を上方修正したリクルートホールディングスは大幅高。

MCPアセット・マネジメントの大塚理恵子ストラテジストは、株式市場が米雇用市場の減速を「利下げ期待」ではなく「景気懸念の悪材料」として捉えたのは意外感があるとし、投資家のリスクセンチメントが後退していることを示唆すると話した。市場心理がやや不安定化する中、決算発表で予想を下回る結果となった銘柄への反応が大きくなる傾向があるとした。

債券

債券相場は下落。流動性供給入札がやや弱めの結果となったことや週末の持ち高調整売りが出てた。長期国債先物中心限月の12月物は取引開始後に一時前日比18銭高まで上昇した後、下落に転じた。

残存期間5年超15.5年以下を対象とする流動性入札結果によると、応札倍率は3.25倍と同年限の10月の前回入札の3.36倍から低下した。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「無難の中の弱めの結果」と指摘。その上で、「この結果を受けて債券相場が中長期ゾーンを中心に押し上げる要因にはなりづらい」と述べた。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円相場は対ドルで153円半ばで推移している。利下げ期待から米長期金利が低下し、ドルを売る動きがある一方で、米国の株価先物が下げ止まっていることを受けてドルを買い戻す動きも出ている。

みずほ銀行国際為替部の長谷川久悟マーケット・エコノミストは「米国株安が続いたが、株価の調整をある程度やり切った感じもあり、ドルが若干買い戻されている」と語る。

ドル・円相場は午後3時過ぎに上昇幅をやや拡大した。SBI FXトレードの上田真理人取締役は、特に材料がないだろうとしながら「日経平均株価が5万円台を維持して引けたことで少しドル買い安心感が出ている」と述べた。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:我妻綾.

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