(ブルームバーグ):ソフトバンクグループが今年に入り、米半導体メーカーのマーベル・テクノロジーの買収可能性を検討していたと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。実現していれば半導体業界史上最大の取引となるはずだった。
関係者によれば、ソフトバンクG会長兼社長の孫正義氏は、人工知能(AI)ブームの恩恵があるハードウエアへの投資を模索する一環で、数年にわたり断続的にマーベルを買収候補として検討してきた。ソフトバンクGは数カ月前にマーベルに接触したが、条件面で合意に至らなかったという。
マーベルとソフトバンクG傘下の英半導体設計会社、アーム・ホールディングスを統合する構想も浮上していたという。現在、具体的な交渉は行われていないが、関心が再燃する可能性もあると一部の関係者は述べた。一方で孫氏は定期的に数十件の潜在的な取引を検討していると関係者は指摘した。
ソフトバンクとマーベル、アームの広報担当者はコメントを控えた。
マーベルはクラウドコンピューティングや人工知能(AI)を支えるデータセンター向けに、半導体チップおよび関連技術を設計・開発する。時価総額は800億ドル(約12兆円)規模。AIブームを背景に株価が上昇する米エヌビディアやブロードコムなどとは対照的に、マーベルの株価は今年16%下落している。
ただ報道を受け、マーベル株価はアジア時間に代替取引プラットフォーム「ブルーオーシャン」で一時13%高となった。
仮に買収が実現していれば、ソフトバンクGがAIインフラ分野への進出を図る最新の事例となるはずだった。同社は3月、半導体設計を手掛けるアンペア・コンピューティングを買収することで合意したと発表していた。
一方、マーベル買収の実現を巡っては、価格以外にも障壁がある。米政府は半導体産業の国内育成を推進しており、日本企業による買収を承認するか定かではない。さらにマーベルとアームの統合に関しては、独占禁止法に基づく審査や経営陣統合の問題も懸念されている。
原題:SoftBank Said to Have Weighed Potential Takeover of Marvell (1)(抜粋)
(マーベル株の値動きを追加して更新します)
--取材協力:Dinesh Nair、Ian King、Dina Bass、杉山容俊.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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