経営不振が続く日産自動車は6日、グローバル本社ビル(横浜市)を970億円で台湾系の大手自動車部品メーカー、敏実集団(ミンス・グループ)などに売却すると正式発表した。

日産の発表資料によると、20年間のリースバック契約で、引き続き本社として活用し、業務に支障を来すことはないとしている。得られた資金は経営再建計画の完遂に向けた設備や業務改革のために活用する。12月12日に契約を結ぶ予定で、今期(2026年3月期)に固定資産売却益約739億円を特別利益として計上する見込み。

発表に先立ちブルームバーグはミンス・グループらの特別目的会社(SPC)への売却を報じた。複数の関係者によると、米投資ファンドKKR傘下の不動産資産運用会社のKJRマネジメント(KJRM)が、SPCの運用を担う。日産は不動産投資ファンドなどに入札参加を打診。KJRMが最も高い金額で応札していた。

日産の株価は6日の取引で反発して取引を開始。発表前の報道を受けて、一時前日比3.9%高の356.1円と10月22日以来の日中上昇率となった。

横浜駅前にある日産本社ビル

日産は人員削減や工場閉鎖などに動いているものの、今期(2026年3月期)の営業損益は2750億円の赤字転落となる見通し。厳しい状況が続いている。本社売却でまとまった資金が入ることで、財務改善に一定程度つながりそうだ。

KJRMは同日、日産との売買契約を公表。交通利便性に優れた横浜駅至近に位置し、現況機能を継続することで、周辺エリアのさらなる活性化に寄与することが期待されるとしている。主な出資者であるミンスグループは電気自動車用バッテリーケースなども手掛け、日産にも部品を供給しているという。

日産は長年、東京・銀座に本社を構えていた。09年8月にグローバル本社ビルが完成し、創業の地である横浜に本社を戻していた。

(KJRMの声明などを追加して更新します)

--取材協力:高橋ニコラス、鈴木英樹.

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