10月の米民間雇用者数は増加し、雇用市場にいくらか安定が戻った可能性を示唆した。前月までは2カ月連続で減少していた。

連邦政府の一部閉鎖で政府統計の発表が遅れているため、ADP統計は雇用市場を把握できる数少ない月次データとなっている。雇用市場の急激な悪化に対する懸念はいくぶん緩和される可能性があるものの、今回の小幅な増加は労働力需要の全体的な減速傾向と整合する。

ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「今年初めと比べれば、採用は控えめだ」と発表資料で指摘。「一方で賃金の伸びはこの1年以上ほとんど変わらず、需給動向のバランスが取れていることを示している」と分析した。

ただし、アマゾン・ドット・コムやスターバックス、ターゲットなど知名度の高い企業による人員削減発表が相次いでおり、雇用市場への不安を強めている。新規失業保険申請件数は依然として低水準だが、解雇の増加が今後の失業率上昇につながるリスクもある。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は先週、政策金利引き下げを決定。利下げはこれで2会合連続となった。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で「労働市場が徐々に冷え込んでいる」としつつ、「それ以上のものではない」と述べた。パウエル議長は12月会合での追加利下げが既定路線ではないことを明確にした。

動画:10月の米民間雇用統計を伝えるブルームバーグテレビジョン

賃金の伸びは停滞している。転職した労働者の賃金は6.7%増加した一方、同じ職にとどまった労働者の賃金は4.5%増加した。

ADPは月間統計に加え、今後は週次データも発表する方針を先週明らかにした。ADPはこれまで、FRBに週次の雇用データを提供していたが最近になってこれを停止。理由は説明していない。

統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Companies Added 42,000 Jobs in October, ADP Data Show (3)(抜粋)

(賃金に関するデータなどを加えます)

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