(ブルームバーグ):米国株が1カ月ぶりの大幅安となり、4月に始まった強気相場がついに終わりを迎えるのではないかとの懸念が広がっている。ハイテク株の高いバリュエーション(評価額)、限られた銘柄への偏り、経済の先行き不透明感といった懸念が再び意識されている。
4日の市場では世界的にリスク資産が売られた。ウォール街幹部から相次いだ調整への警鐘が売りを加速させた。S&P500種株価指数は前日比1.2%下落し、10月10日以来の大幅安となった。ハイテク大手を集めた指数は2.3%下げ、個人投資家が好む銘柄群はトランプ米大統領の貿易戦争で混乱が起きた4月以来の下げ幅を記録した。
人工知能(AI)関連の注目銘柄であるパランティア・テクノロジーズは、業績見通しを引き上げたにもかかわらず8%下落。AI事業への期待では、株価上昇行き過ぎ感を払拭できなかった。加えて、著名ヘッジファンド運用者マイケル・バーリ氏が同社およびエヌビディア株への弱気ポジションを開示したことも不安材料となった。
過去6カ月にわたり株価が記録的な上昇を遂げ、評価額が過熱局面にあるとの指摘は後を絶たない。それでも、多くの投資家は割高感よりも上昇の勢いを追う姿勢を強めてきた。
「短期的には、株式市場はかなりまとまった調整が起きてもおかしくない段階にある。中長期の方向性がどうであれだ」と、ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は述べた。
方向性についての市場参加者の見方はさまざまだ。
フォレックス・ドット・コムのアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏は「懸念の一つは、相場を主導する銘柄群が危険なほど狭まっていることだ。ごく少数の巨大ハイテク株が市場全体をけん引しており、AI関連の物語が揺らげば相場全体が脆弱(ぜいじゃく)になる」と指摘する。
一方で「市場の重さは感じるものの、これは記録的な上昇が続いた後の調整だ」とも述べ、「過去にうまくいった『押し目買い』を狙う投資家は依然多い」とみている。
ニューヨーク・ライフ・インベストメンツのストラテジスト、ローレン・グッドウィン氏は「AIを中心とする市場モメンタムは、堅調な経済活動、政策支援、投資家心理の強さ、潤沢な流動性に支えられているが、いつ反転してもおかしくない」と言う。一方で、企業の利益見通しと設備投資が健全に推移している限り、「押し目は買い」だと述べた。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のサビタ・スブラマニアン氏は「中期的にはS&P500に対しては引き続き建設的だが、短期的にはリスクがある」との見方だ。
BTIGのテクニカルアナリスト、ジョナサン・クリンスキー氏は、S&P500種株価指数の「6400-6500への下落は十分起こり得る」と考えている。
イアン・リンゲン氏らBMOキャピタル・マーケッツのストラテジストは、「史上最高値が例外ではなく常態化している事実」に言及し、最近の上昇後に「底固めの局面を経ることが、リスク資産にとってプラスに働くとの見方に賛成だ」としている。
ゴールドマン・サックス・グループのパートナー、リッチ・プリボロツキー氏は、株式市場は調整すべき時にきており、問題はそれがいつ、どの程度の規模で起きるかだと述べた。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのダン・ワントロブスキ氏はS&P500の初期的な下値支持線として6750-6800ポイントを注視している。「複数の時間軸で買われ過ぎの状態にあり、11月には突然に買いが途絶える『エアポケット』や調整に直面する可能性がある」と指摘した。
S&P500の4日終値は6771.55。
原題:Stock Pullback Has Investors Debating How Deep Selloff Will Go(抜粋)
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