(ブルームバーグ):ウォール街の最高経営責任者(CEO)らが株価調整の可能性に警告を発する中で、人工知能(AI)ブームの勝者とされてきた半導体銘柄のバリュエーション(株価評価)不安が世界的に広がり、アジア市場にも売りが波及した。
5日午前の韓国株式市場では、半導体や防衛、造船関連など最近の上昇銘柄が売られ、代表的な株価指標である韓国総合株価指数は一時6.2%下落した。半導体メーカーのサムスン電子は一時7.2%安、SKハイニックスは約9%安となった。ただ午後に入ると、SKハイニックスを中心に下げ幅を縮小した。
東京株式市場でも、ソフトバンクグループやアドバンテストなどAI関連の主力株で売りが膨らみ、アドバンテストの下落率は一時10%を上回った。日経平均株価の午前終値は4.6%安。
4日はフィラデルフィア半導体株指数、5日にはブルームバーグのアジア半導体株指標から約5000億ドル(約76兆6500億円)相当の時価総額が一時的に失われた。
半導体株の売り加速は、AI需要を原動力する株価高騰が最高値更新後に限界に達しつつある様子を浮き彫りにする。AIの計算能力に対する需要の急拡大が予想される状況で、半導体メーカーの時価総額は、株価が直近の安値を付けた4月以降、数兆ドル増えた。
今回の調整局面は、金利がより長期にわたり高止まりする場合は特にそうだが、半導体セクターの予想利益とバリュエーション高騰への不安の高まりをうかがわせる。

アバディーン・インベストメンツのファンドマネジャー、シンヤオ・ヌン氏は「必要であり、ある程度健全な調整と考える。AIバブルは存在し、まだ崩壊段階ではないが、一部AI関連銘柄の株価の軌道がこのまま続けば、最終段階に入るまでに長くかからないだろう」と見解を示した。

原題:Global Chip Selloff Erases $500 Billion in Value as Fears Mount、South Korean Stocks Tumble as Valuation Concerns Hit AI Winners(抜粋)
(市場関係者の見解を追加して更新します)
--取材協力:Susie Kang.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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