(ブルームバーグ):米国への移民の大幅な減少が米労働力人口の伸びを鈍化させ、場合によっては縮小させる可能性がある。米サンフランシスコ連銀が最新報告書でこう警告した。
19日に公表された報告書によると、今年これまでの純移民流入は約51万5000人と、昨年の約200万人から急減した。同連銀は要因として、不法移民の減少と出国率の「若干の上昇」を挙げた。また、今年の強制送還件数は28万5000件前後と推計した。
「今年見込まれる移民の減少は、労働年齢人口の縮小が長期化し、今後数年にわたり労働力の伸びが低迷ないしマイナスになる可能性があることを示唆している」と、報告書をまとめた米連邦準備制度理事会(FRB)の研究者エフゲニヤ・A・ドゥジャク氏とアディ・ニューシュミット氏は分析した。
エコノミストは、トランプ大統領による移民取り締まり強化が労働力に及ぼす影響の分析に苦戦している。強制送還の実施件数に関する明確な統計が乏しい上に、政府閉鎖による経済指標の公表遅延も影響しているためだ。今年の米雇用の鈍化が移民減少によるものか、個人消費の減速によるものかを巡っても意見が分かれている。
同報告書は、もし移民がいなかったとしたら米国の労働年齢人口は2012年までに減少に転じていた可能性が高いと指摘。出生データ分析によると、16歳に達する米国生まれの人口は2040年まで減少が続く一方、ベビーブーマー世代の高齢化により65歳に達する人口は増加している。
こうした人口動態の変化は、利用可能な労働力を減らすだけでなく、消費者人口の縮小を通じて経済全体の需要を減退させる可能性があるという。
研究者らは「最近の移民の減少と労働年齢人口の伸び鈍化が重なって、経済成長に重大な影響を及ぼす」とした上で、移民の減少は「高いコア・サービスインフレ率の低下に寄与する可能性もある」と分析した。
原題:Slower Immigration Could Shrink Future Workforce, Fed Study Says(抜粋)
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