(ブルームバーグ):日本銀行の小枝淳子審議委員は20日、金融政策運営について、金利の正常化に向けて、経済・物価の改善に応じた利上げが必要との見解を示した。新潟県金融経済懇談会で講演した。
小枝委員は、極めて低い水準の「実質金利を均衡状態に戻していく金利の正常化を進めることが、将来に意図せざるゆがみをもたらさないためにも必要である」と語った。労働市場はタイトとした上で、「経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」ことは必要だと述べた。
小枝委員は、経済のゆがみを回避する観点からも、利上げによる政策正常化を進める重要性を指摘。具体的なタイミングに言及しなかったが、追加利上げに前向きな姿勢を示した。

日銀が政策運営で重視している基調的な物価上昇率については、総合的に見て2%ぐらいになってきているとの認識を示した。
日銀は10月の金融政策決定会合で政策金利を0.5%程度に据え置いた。9月に続いて高田創、田村直樹の両審議委員が反対し、0.75%への利上げを提案した。一方、金融緩和重視とみられる高市早苗政権の発足で、12月会合での利上げ観測は足元で後退している。
他の発言
- 金融政策運営は日々情報を更新し、その都度判断する必要
- 実質金利はマイナス、水準は他国に比べ明らかに低い
- 仮に実質金利のマイナス少し縮んでも、消費・投資の刺激続く
- 足元の物価は全体として強め
- 全体として足元の日本の経済指標は悪くない
小枝氏は、3月に早稲田大学政治経済学術院教授から日銀審議委員に就任した。審議委員としての講演は今回が初めて。7月のブルームバーグとのインタビューでは、コメを中心とした食料品価格が想定よりも強いとの認識を示し、政策判断で重視する基調的な物価上昇率への影響を注視すると語った。
(発言の詳細を追加して更新しました)
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