(ブルームバーグ):長期国債の投資妙味が高まっていると、JPモルガン・アセット・マネジメントが指摘した。各国政府と中央銀行が長期債市場の供給過剰に歯止めをかけつつあるためだ。
金利責任者のシェーマス・マクゴレーン氏によると、各国の債務管理当局が超長期債の発行を削減し、中央銀行も保有債券の売却ペースを緩めていることから、30年債利回りの最近の低下はさらに進む可能性があるという。
同社は長期の英国債やオーストラリア国債を選好しているほか、日本については長期債のアウトパフォーマンスによるイールドカーブのフラット化を見込むポジションを取っている。
マクゴレーン氏はインタビューで「過去数年は政府債の供給過剰がテーマだったが、潮目が変わりつつある」と述べ、各国当局が長期債の需要低下を認識し、先行して供給調整を進めていると説明した。
「政府と公的部門は現在、需給不均衡に対処しようとしている」と指摘した。
長期債市場は今年、財政赤字拡大への懸念が強まり売りが加速したが、9月上旬以降は落ち着きを取り戻している。30年米国債利回りは30ベーシスポイント(bp)超低下し、英国債では55bp低下。日本の30年債利回りも10月上旬の過去最高水準から30bp下がっている。

最近の長期債市場の落ち着きの一因は、日本や英国などが国債発行を短期ゾーンへシフトしていることにある。一方、米財務省は超長期ゾーンへの圧力を和らげるため、買い戻しを実施している。
さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)、イングランド銀行(英中央銀行)、カナダ銀行(カナダ中銀)は量的引き締め(QT)の運用を調整し、危機時に積み上げた保有資産を圧縮するペースを鈍化させている。FRBは今週、12月1日から月50億ドル規模のランオフ(償還に伴う保有減少)を停止すると発表した。
マクゴレーン氏は「中央銀行がQTから離れつつあることは支援材料だ」と述べた。
米国では、銀行の自己資本規制の緩和やトランプ政権によるステーブルコイン推進の動きも、米国債市場の支えになるとみられる。
一方で、先進国政府が防衛や環境関連のさまざまな支出の資金調達を迫られていることから、懸念が完全に払拭(ふっしょく)されたわけではない。
長期国債の主要な買い手である年金基金の多くも、高齢化に対応するためリスク資産へのシフトを進めている。
ただ、マクゴレーン氏はインフレ再燃が自身の見通しに対する最大のリスクだと認める一方で、各国当局は長期債に支援が必要となる兆しを注視するだろうと考えている。
「再び長期ゾーンの取引が極端に悪化するような局面になれば、何らかの対応が取られることはほぼ確実だ。長期債利回りが非常に高くなっても当局が何もしないということはあり得ない」と語った。
原題:JPMorgan AM Sees Long Bond Revival as Supply Glut Ebbs(抜粋)
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