(ブルームバーグ):村田製作所の株価は31日、一時前日比15%高の3486円を付けた。2016年2月以来の約10年ぶりの日中上昇率となった。
同社は今期(26年3月期)の営業利益予想を2800億円に引き上げ、市場予想平均を上回った。従来予想は2200億円だった。けん引するのが人工知能(AI)サーバー向けやスマートフォン向けの電子部品だ。
発表によると、AIサーバーや周辺機器への電子部品搭載数が増えているという。また期初に広がっていた米国の追加関税に伴う景気後退懸念が薄まり、スマートフォンの販売台数が増えたことで、同社製品の販売も好調に推移する。一方、第3四半期(10-12月)以降の為替レートを1ドル=145円に変更。前回予想から5円円安方向としており、円安の押し上げ効果もある。
AIを巡っては、相場に過熱感もあるとみられているが、電子機器・電子部品企業の業績の起爆剤となっている。28日に決算を発表したアドバンテストも今期営業利益見通しを3740億円(従来予想は3000億円)に引き上げていた。AI関連向けの半導体の性能向上や生産数量の増加を背景に検査装置の需要が拡大するためだ。
また、大引け後に決算発表したTDKは、4月時点で1800億-2250億円としていた26年3月期の営業利益見通しを2450億円に上方修正した。スマートフォンやHDDなどの情報通信技術(ICT)市場向けが堅調だ。特に、二次電池およびセンサーの販売が拡大しているほか、データセンター向けHDDの需要が旺盛で、HDD用サスペンションが伸びている。
村田製作所の中島規巨社長は31日の決算会見で、「データセンターという好調な産業エリアがあり、積層セラミックコンデンサを中心とした製品がヒットした」と強調。今後のインフラ投資の進展やAIの普及にも期待を寄せる。今後2-3年はデータセンター向けの投資が中心で、その後パソコンや眼鏡など端末側にもAI機能が搭載されるとみる。
同社は、日米両政府が28日に発表した米国でのプロジェクトに関心を示す企業としても名前が挙がっており、先進電子部品の供給及び米国におけるサプライチェーン(供給網)の強化を目指すと示されていた。
(TDKの決算内容を追加しました)
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