(ブルームバーグ):黒田東彦前日本銀行総裁は30日、日本と米国の金利差が早晩縮小すると見込まれることで、円は対ドルで1ドル=120-130円前後に向けて上昇する公算が大きいとの見解を示した。
黒田氏は「現在の円・ドル相場は1ドル=153円程度だが、これは弱過ぎる」と述べた上で、「いずれ円・ドル相場は1ドル=120-130円程度に回復するだろう」と語った。シンガポールで開かれたバークレイズ・アジア・フォーラムの合間にブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じた。
日本時間30日午後2時ごろの時点で、ドル・円は152円80銭前後で取引された。
黒田氏はまた、米国の利下げと日銀の逆方向の動きによって、日米の金利差が縮小し、円相場が2年余り前の水準に戻ることにとなるとの見方を示した。
黒田氏との英語でのインタビューは、日銀の金融政策発表の30分ほど前に行われた。日銀は30日まで開いた金融政策決定会合で、広く予想されていた通り政策金利を0.5%程度に据え置くことを決めた。政策維持は6会合連続。
黒田氏は「2%の物価目標はすでに達成され、経済は1.5%程度の成長となっている。失業率はわずか2.6%程度だ」と指摘し、植田和男総裁率いる日銀が利上げを継続する環境が整っているとの認識を示唆した。
このほか、日銀が9月までの5会合連続で政策維持を決めたことに関しては、トランプ米大統領による関税措置が日本経済に与える影響を見極めたい考えを反映したものだとの見方を示し、その影響は当初の想定よりも小さかったと黒田氏は述べた。
黒田氏はさらに、年末までに日銀利上げが実施される公算が大きいとの見方を示した。
原題:Ex-BOJ Governor Kuroda Sees Yen Rally Toward 120-130 Per Dollar(抜粋)
(英語でのインタビューであることを明記し、記事リンクを追加して更新します)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.