住友商事は29日、システム開発会社SCSKを株式の公開買い付け(TOB)通じて完全子会社化を目指すと発表した。SCSKは上場廃止となる。

発表によると、住友商事の100%子会社であるSCインベストメンツ・マネジメントが1株あたり5700円でTOBを実施。28日の終値に34%上乗せした水準。買い付け期間は30日から12月12日。買い付け代金は総額8820億円。

買収資金はブリッジローンで調達し、その後、中長期年限の銀行借入や普通社債などに切り替える予定。資本性調達は予定していない。ブルームバーグのデータによると、住友商事はSCSK株の50.5%を保有する大株主だ。

住友商事はSCSKとの結びつきを強めることで、生産性を高められる可能性がある。デジタル技術を活かした業務の効率化や商品・サービスの価値向上は、商社が持つ多様な事業に共通する課題だ。資源事業への依存が長く指摘される中で、サービスやソリューション事業の拡大は、資源市況に左右されにくい経営基盤を築くうえでも有効となる。

他商社では伊藤忠商事が2023年に伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)を完全子会社化したほか、丸紅も同年に設立した中間持株会社のもとでIT系事業会社4社を再編した。三井物産も15年に三井情報を完全子会社化している。

日本企業を巡っては、親子上場を解消する動きが相次いでいる。国内通信最大手のNTTが5月には、傘下のシステムインテグレーターであるNTTデータグループを完全子会社化し、株式を非公開化する。住友商事はコメントを控えた。

住友商事によるSCSKの完全子会社化は日本経済新聞が先に報じていた。報道が伝わると、住友商事株とSCSK株はともに東京証券取引所での株式売買が停止された。

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--取材協力:宮崎大.

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